Movie Magic

アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

タイ映画『ブンミおじさんの森』感想ネタバレなし:人間の前世について説いてみる。

poster of Uncle Boonmee who can recall his past lives

Kick the Machine

こんちくわ!Shygonです!

今回はタイ映画として史上初の快挙を成し遂げた

ブンミおじさんの森

について熱く語りたいと思います!

2010年に公開した本作は、タイ映画としては史上初のカンヌ映画祭で最高賞にあたるパルムドールを受賞しました。

人間の前世などの幻想的な世界を独自の方法で表現した本作は、他の映画には絶対ない世界観から、世界中から絶賛を浴びました。

ただ本当に意味がわからない理解不能な映画なんですよ。なぜそんな映画が評価されたのかを少し掘り下げます。

 

あらすじ

タイ東北部。腎臓の病により死を前にしたブンミおじさん。後先長くないことを悟り、ある時死んだブンミの妻の妹・ジェンとその息子トンを自らの農園に呼ぶ。三人で食卓を囲んでいると、突然女性の幽霊が出現する。それこそが19年前に亡くなったブンミの妻・フエイだった。しばらくすると、今度は長年行方が分からなくなっていたブンミの息子・ブンソンが姿を変えて現れる。愛する者たちを取り戻したブンミは、4人で森の中に入っていく。

 (Wikipediaより抜粋)

 

タイ映画史上 初の快挙!!!

Uncle Boonmee who can recall his past lives

Kick the Machine

 アピチャートポン・ウィーラセータクンって?

監督を務めたのは、アピチャートポン・ウィーラセータクン。

もう長すぎて、絶対は?は?は?と繰り返したくなる長くて覚えづらい名前なので、みんな"Joe"と呼んでるらしいです。

 

ィーラセータクン監督は1970年にタイで生まれました。両親が医師であった彼は、タイでは最高峰の大学 コンケン大学を卒業後、アメリカに渡り、シカゴ美術附属美術大学に進学。

ザエリートコースを進む彼ですが、彼の作る映画は全く金にならないのです。インタビューで彼自身がこんなことを語っていました。

"毎回全身全霊で映画を作っても、広告やプロモーションで製作費が回収できない。"

Every time I release a movie, I lose money because of the advertising and promotion, so I'm not sure if it's worth it, even though I would love to show it at home

なので、本作も製作費が回収できるか不透明だったため、商業映画ではかなり珍しい16ミリのフィルムでの撮影でした。

本作のパルムドール受賞の結果、世界中で関心を集め、2000万円ほどの興行収入を得たそうです。

最後に、短編映画のプロジェクトのとき、野火などで知られる塚本晋也監督とも親交があるようですね。

 

A man who can recall his past lives 

Uncle Boonmee who can recall his past lives

Kick the Machine

邦題は「ブンミおじさんの森」という映画ですが、いまいち内容が入って来ません。

本作の英題”Uncle Boonmee who can recall his past lives”です。タイ語の題名(ลุงบุญมีระลึกชาติ)は、筆者にとって文字なんかではなくて、子供の落書きのようなので、英題で意味を説きます。

 

作の背景はウィーラセータクン監督が読んだある一冊の本からはじまりました。

"A man who can recall his past lives"は人間のスピリチュアルな一面をタイ実在したの僧侶が書いた本です。

彼は自身の前世が見えると自身の著書で告白していました。ウィーラセータクン監督がその本に出会った時にはもうその僧侶は存命していなかったですが、その本から着想を得たそうです。

なので、本作では死期を悟ったブンミおじさんが亡くなったはずの亡き妻や息子に出会うのです。

 

前世や自然を取り巻く幻想的な世界

Uncle Boonmee who can recall his past lives

Kick the Machine

病気のため、近いうちに自分が消えて無くなると感じたブンミおじさん。死期が近づくブンミおじさんには、死期以外に不思議なものが近づくのであった。

死んだはずの妻と亡くなったはずの息子。一生かけて愛した妻は、生前と変わらず綺麗な女性の霊として、ブンミおじさんの目の前に姿を現した。

それに対して、息子は猿にそっくり容姿で登場する。筆者にとってあれはゴリラにしか見えないが、そんなことはいまはどうでも良い。

 

舞台はラオス国境付近のタイ北部。壮大な森の中に生活するブンミおじさんの家には、自然の美しさと人間の内に秘めるスピリチュアルな幻想があたり一帯に広がる。

本作のテーマは、夢、自然、スピリチュアル的な人間の内なる部分、そして、性を描く。ウィーラセータクン監督自身がゲイであることも関連し、本作は普通の映画では絶対見ない経験を、たった映画一本だけでできるような気がする。

 

本作を観た後、これをどう言葉に起こすか必死に考えてみた。読者の皆さんに読んでもらうためには、不可解なあらすじや映画の解説をするべきなのだと思う。

でも、本作のあらすじだけを説明したブログはこのブログで説明するより、よく説明されたものがあったので、そちらをご覧下さい。

映画『ブンミおじさんの森』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

Uncle Boonmee who can recall his past lives

Kick the Machine

では本ブログではなにを語るのか。

僕は日々観た映画を通して、自分自身がどう思うのかや、その映画の裏にはどんなことが隠れているのかなどに焦点を当て、書くようにしている。

それを本作でもやろうとしても中々出来ない。本作を表現する言葉がまるで出てこないのである。

本作を批判しようとすればいくらでもできる。逆に褒めることもいとも簡単に出来てしまうと思う。

 

本作はタイの内情を痛烈に批判したとして、ウィーラセータクン監督はタイ国内で批判されたとインタビューで話していた。

でも、彼は一貫して、本作に対し、この映画は政治的な映画ではない。単なるひとりの人間の見える世界を描いた人情物語だ。とインタビューで語っている。

 

びぇ!