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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

Netflix『アンブレラアカデミー』あらすじ感想:MarvelとDCの独占は終わった。

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Netflix

7人の異端児が世界救う。ときは1989年10月1日。

この日の他の日とは変わらない、いたって普通の朝を迎えた。ただ不可解な事件が世界中で連続して起こった。世界中で43人の子供が生まれたが、珍しく誰もその日の朝に妊娠をしていなかった。

なぜ妊娠していない女性がいきなり出産を出産をしてしまうのか?謎しか残らない謎の現象に興味を抱いたある資産家がいた。奇人として知られ、冒険家でもあるジナルド・ハーグリーは、性別人種が異なる7人を引き取り、育てることにした。

 

やがて7人はそれそれ特殊能力が備わっていることがわかり、世界を救うため彼らの教育をはじめた。豪勢な宮殿のような家に住み込み、アンブレラアカデミーを結成。銀行強盗が起こるとすぐさま訪れ、グレートサイヤマンのようにさらっと世界を救い、帰宅。

秩序も保たれ、教育されたアカデミーは順調なヒーロー集団。キャプテンアメリカのように暴走することもなければ、バッドマンのように命令に背くことはない。

 

7人のヒーロー自己紹介

No.1のルーサーはゴリラのような強靭な体格の持ち主だが、実は童貞というピュアさを同時に兼ね備える。

No.2のディエゴは頭のキレる暗殺者のような素早さを持ち、No.3のアリソンは女優として、他人をコントロールできる。

No.4のクライスはゲイでドラック依存症、でもみんなから愛される人格者で、No.5は唯一の幼い少年。時空の行き来が可能で、小柄ながら一番頭がキレる。

No.7が主人公のバーニャ。プロのバイオリ二ストだが、才能には乏しく、特殊な能力もない。

 

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Netflix

2010年代は、ヒーロー系作品がとにかく豊作であった。Marvel作品が次々と映画化され、アベンジャーズは世界中を虜にした。バッドマンやスーパーマンを抱えるDCコミックスもMarvelに比べると遅れを取ったが、大成功したヒーロー映画はある。

そんなヒーロー界の二大巨塔とは毛色が違う新たなコミックを本作は原作とする。かつてロックバンドとして有名だった"My Chemical Romance"のボーカリストが解散後に、出版したマンガが原作。

MarvelやDCは子供たちの憧れの存在で夢の中で輝き続けた。そしていまは子供たちだけでなく、大人までをも熱狂させるほどの、ストーリーの奥行きを感じるのだ。

 

傘部隊の活躍

『アンブレラアカデミー』は、世界が崩壊するというダークな設定に、子供たちが夢みるような輝かしいヒーロー像とはかけ離れている。犯罪ドラマの惨い描写がおつまみとして合うようなテンポ感と大人の事情を、ゴリゴリ全面に打ち出している。

マーベル映画は、複雑な政治情勢をまるく納めながら、現代社会の縮図をラフに描いているが、このドラマはそんな作品的なはからいを一切見せない。

 

全て暴いてやる。

おれは本気だぞ?そういった感じだ。キャストはそんなに大御所の有名俳優たちが出演していないのもいい。主人公のNo.7を演じたエレン・ペイジはX-MENやジュノでそれなりに有名な女優。

No.1のゴリラは「ゲームオブスローンズ」にちょっぴり出演しただけだし、No.4のジャンキーは「モータルエンジン移動都市」という大失敗したSF映画に出ていた。それくらい

 

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Netflix

No.4のクラウスが大好き。

四六時中ドラックにどっぷり漬かり、足をフラつかせる。魅力的な目に男らしいヒゲを生やすクラウスはゲイで、数多くの男をトリコする。アルコールとドラック依存症ながらなぜか愛される彼のキャラクターは、本作でも際立って目立つ。

最近多様性がキーワードとして、ハリウッドで作品を制作するとき、アジア系と黒人を必ずキャスティングするようになった。それと同時に、性的マイノリティーのLGBT人たちと、依存症についても取り糺されている

まるで依存症がひとつの種族のように、どのメディアにも登場するような気がする。

 

多様性を重視することが当然なほど、依存症というものが、隠れたところで数多く存在し、大きな社会問題としてやっと注目されはじめた。アメリカでは、僕のまわりには誰かしら依存症だった人はいるし、それに苦しんでいる人は多い。

「日本は臭いものには蓋をせよ!」と言われるように、そんな人間社会の汚点は隠せよと言わんばかりに社会の隅へと、ホウキで掃かれ、まとめられ、なにもなかったかのように対処される。

でも世界はそんなホコリでさえひとつの出来事として、特色として物語に登場させる。それがいいかは悪いかではなくて、単純に世の中の一連の流れとして、そんな動きが日本人が知らないところで存在しているということだ。

 

 びぇ!