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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

Netflix韓国映画『麻薬王』あらすじ感想ネタバレ:70年代の釜山で名を馳せたイ・ドゥサムの人生

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Netflix

こんちくわ!Shygonです!

今回は韓国で麻薬帝国を築いた立役者を描いた

麻薬王

について熱く語りたいと思います!

2018年にNetflixで製作された本作は、1970年代の韓国釜山を舞台に、日本に麻薬を密輸し、一財を築き上げたイ・ドゥサムの成功と失墜を描きます。

平凡な鑑定士だったドゥサムがいかにして成り上がり、麻薬王として名声を手にしたのか。あるひとりの男の人生を壮大に描く。

 

サクッとあらすじ

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Netflix

1972年韓国の釜山。金の鑑定士をしていたイ・ドゥサムは、あるときマフィアから仕事を依頼される。

日本が敗戦後、多くの人が路頭に迷い、国が混乱している中、薬物依存者が急増し、規制されていた。

そんな中、韓国では強力な薬物メタンフェタミンを輸入する動きが活発化。

もともと戦中に神風特攻隊が眠気や恐れを無くす効果があるとして、メタンフェタミンを乱用していた背景もあり、戦争が終わっても依存者は増加傾向にあった。

 

ヒロポンと韓国では呼ばれたメタンフェタミンを次世代のビジネスと確信したイドゥサムは徐々に勢力を伸ばしていく。

原料を台湾から取り寄せ、韓国で製造し、日本に売る。そんな革命的な販売法とともに"Made In Korea"ブランドは瞬く間に庶民の間で人気を博す。

高級車を乗り回し、政界まで進出したイドゥサムは欲しいがままに全てを手に入れてきた。

"ドラックディーラー自らがドラックに手を出したらおしまいだ!"というかつての自らの言葉が守れなくなったドゥサムは‥

 

韓国の名優が麻薬王に扮する

韓国の歴代観客動員数を更新した「インサイダーズ/内部者たち」でおなじみのウ・ミンホ監督が監督脚本を務めました。

 イ・ドゥサム

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Netflix

平凡な鑑定士が麻薬ビジネスに手を染めると瞬く間に富や名声を手に入れる。長くは続かず、失落してゆく哀れな麻薬王。

ソン・ガンホが演じます。韓国を代表する名優で、「シュリ」「グエムル」で有名。カッコよくはないが、独特の雰囲気とカリスマ性を備え持つ演技派。

 キム・インゴ

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Netflix

主人公イ・ドゥサムを懸命に探し出す検察。どうにかしてドゥサムの尻尾を掴もうと必死に証拠集めに奔走する。

チョ・ジョンソクが演じました。韓国恋愛映画の歴代記録No.1の「建築学概論」で有名の韓国きってのイケメン俳優。

正直こんなむごい映画が映画として成り立っているのは彼がいるからで、いないと誰もいないでしょうね。

 キム・ジョアン

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Netflix

イ・ドゥサムが麻薬王として登り詰めるため、上流階級の層とのパイプ役の女将。その美貌とカリスマ性で男たちを魅了する。

ペ・ドゥナが演じました。是枝裕和監督の「空気人形」で日本アカデミー賞に輝くなど、韓国を代表する女優のひとり。

 

麻薬の本質がわかる映画

善良な全ての国民は言うでしょう。

"麻薬はゼッタイダメ!"

なぜダメなんだろうか?

体験したことない人たちからはその理由が医学的にわかっててもあまり実感がない。

 

麻薬経験者は口を揃えて言うでしょう。

"麻薬はやるものじゃない。"

とても反省している。

 

世界中に蔓延する麻薬を各国の政府が重い腰を上げて規制活動に踏み切ったのは、ごく最近のこと。

でもなぜその規制が上手くいかないのか。筆者は経験者と規制側の心の乖離が主な原因だと思っている。

 

麻薬の規制をするのは麻薬など生活の近くにないような閣僚級の政治家が決める。

だが、実際は彼らが麻薬の本当の恐ろしさなんて知らないだろうし、依存者たちがどんな世界を見ているのかを知らない

 

これまでも「リクリエムフォードリーム」など数多くの麻薬依存者を扱う映画が撮られてきた。そのどれもが想像を絶する風景に言葉を失うだろう。

本作「麻薬王」は本当の意味での麻薬の恐ろしさを疑似体験できる最良のコンテンツなのだ。

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Netflix

依存者にしか見えない、麻薬の効力がプツンと切れたときの不安と動揺や麻薬を再び体に注入したときの快楽感。

常人の感覚とはかけ離れた価値観の中で、人間を中身から抜け殻にし、豹変させる麻薬の真の恐ろしさが身にしみて本作はわかる。

 

主人公イ・ドゥサムを演じたソン・ガンホは、"麻薬依存者だろ!"と本気で疑ってしまうほど、怪物的な演技を披露した。

これが彼が韓国きっての実力派俳優と謳われる理由とわかるが、そんなガンホの名声を飛び越して、天才すぎる。まさに脱帽

 

ノコギリで切ったかのような不調和音とぎこちない不吉な音を重ねて、麻薬が切れたときの不安と動揺を演出。

麻薬をはじめて体感したときの快楽感とこれまでの人生を吹き飛ばすような高揚感。いきなり笑い出したと思ったら、一瞬にして泣き出す。

麻薬依存者によく現れる感情の起伏の激しさがそのまま表現される。

 

かつてないほどの高揚感を表す躁感に、とんでもないほどの圧力に押し潰される鬱感の真反対の感情表現を一度に描く本作は、いかに麻薬が人生の終わりへのはじまりなのかを物語るのだ。  

ドラックディーラーとして登りつめるも、自身もそのドラックにコントロールされはじめる。本編の冒頭から流れるホラー調の音楽が終わりへのはじまりを示唆する。

ドラックで積み重ねた富や名声を、ドラックによって滅ぼされるイドゥサム。短く儚い夢は一瞬にして、消えていった。

 

イドゥサムは懲役15年を言い渡され、この事件を機に韓国では麻薬課が設けられた。そんな韓国釜山を舞台に波乱の人生を送ったドゥサムが辿った人生の全貌がいまわかる。

びぇ! 

 

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