Netflix『全裸監督』第8話あらすじ感想ネタバレ:AV業界と村西とおるがみる平成の時代とは?
昭和から平成へバトンが渡されるとき
エロの帝王こと村西とおるの伝記ドラマをNetflixが禁断の映像化!山田孝之を主演に迎え、日本の埋もれた歴史にせまる。
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では、シーズン1 を締めくくるフィナーレ第8話を観てみよう。
サクッとあらすじ
とおるも無事アメリカから出所し、黒木香がAV女優ながら、テレビ露出が増えるなどサファイア映像(とおるの会社)の資本は陰りを知らない。
まさに絶頂期に突入し、とおるたちは多忙な時期を過ごしていた。製作すれば、爆発的な売上を記録するので、急ピッチで脚本を書き、撮影し、売るといったことを続けていた。
規制委員会がついにサファイア映像の作品を認可したことが追い風となり、DVDショップには多くの客で連日賑わせていた。
さらに三田村(黒澤明監督に憧れて入社してきたポンクラ)も監督デビューを果たし、全てが上手く軌道に乗った。
アダルト業界全体の景気が良くなり、ライバルの池沢は製作本数を急激に増やし、製作費も従来の5倍に増やしてきた。
サファイア映像の急激な成長に危機感を覚えた池沢は、とおるに10億の融資を提案するも、とおるは当たり前のように断る。この交渉の決裂によって、両者の争いは激化の一途をたどることになった。
女性がセックスを求めても良いと、過激な発言でますますメディアの注目を受けるようになった黒木香の活躍とともに、白パン一丁の斬新な姿でとおるもメディアへの露出が増えていく。
村西とおるがメディアに取り上げられると、彼の作品を一目みようと、DVDショップに客が流れていくこの循環に、とおるたちのお財布事情は潤っていくばかりであった。
問題はトシである。元ヤクザ(國村隼)のもとで働き始めたトシは覚醒剤に手を出し、裏ビデオを闇市場に流す仕事をしていた。
サファイア映像の作品も勝手に裏に流していたことが判明し、とおるたちはトシを追放することにした。
辛いときも売れないとき常にそばでとおるを支えてきたムードメーカーは、こうして信用をなくして、サファイア映像のもとを去るのであった。
トシは去り際に、とおるにこう投げかける。
「お前は俺をクビにしたことを後悔するぞ?」
するととおるは苦し紛れにこう返した。
「もう後悔しているよ」
やっと軌道に乗ってきた自分の夢を壊しかねないトシの存在を思いながらも、信頼している友達だったからこそキツい言葉で、最後のサヨナラを言う両者の歯茎を食いしばったこの表情こそが男の友情を示している。
昭和天皇が危篤状態に入ったと言うニュースが聞こえてくる。
警察も暴力団をはじめ、天皇の崩御の前に負の遺産を一掃するため、多くの犯罪者が一気に捕まった。その中にかつても仲間トシも含まれていたのだった。
新井トシを薬物使用の容疑と裏ビデオの製作で逮捕し、日本最大の裏ビデオ販売を警視庁が摘発した。
さらに昭和最大のポルノ王で、長年のとおるのライバルであった池沢が逮捕されるのであった。
昭和の終わりとともに、その時代を形成した人間も一緒に去っていく。
かつて昭和のポルノ王と呼ばれた池沢は、留置所で無残にひとり首吊り自殺を遂げ、その人生に幕を閉じた。
トシは刑務所から出所し、元ヤクザの古谷と兄弟分の盃を交わし、正式にヤクザの門をくぐるのであった。
新たな時代、平成。
一体どんな時代が待ち構えているのであろうか?
感想
激動の昭和の時代を舞台に、ひとりの男のクレイジーな人生のひとときを存分に楽しめた。
ネット配信で広告に頼らないビジネスモデルを構築しているからこそ日本の隠れたダークな歴史に踏み込めたのだと思う。
やはり時代の流れもあり、かなりの製作費が注ぎ込まれた。
監督やキャストがインタビューで語っているように、これほど素晴らしいセットを見たのは久しぶりなほど、気合いの入った注目されるべき作品なのだ。
さらに俳優陣の演技力の高いさと、体当たり演技は強烈な印象を視聴者に残す。
日本を代表する俳優山田孝之は白パン一丁でカメラを担ぎ、アダルトビデオを撮影するAV監督を演じるし、世間を賑わせたAV女優黒木香を演じた森田望智の濡れ場シーンはもちろんのこと、その再現度には脱帽する。
僕は黒木香が世間を賑わせたときは、この世にいなかった。
なので、当時のことは知らないが、彼女のインタビュー映像をYoutubeで見てみた。まるで本人が乗り移ったかのように、話し方から雰囲気までそのままコピーした完成度の高さ。
森田望智や山田孝之だけではないのがこのドラマが面白い秘訣。
ヤクザを演じた國村隼や、警視庁のリリー・フランキーさらにポルノ王池沢を演じた石橋凌など脇役がとにかく存在感を示す。おっと、ピエール瀧の存在を忘れていはいけない。
ただ良いシーンでエイミー・ワインハウスの名曲”Back to Black”を流すのだけは、どうしても世界観にノレなかったが、それ以外は総じて最高に笑える&面白かった。映画やドラマは歴史を学ぶひとつ(それが正しいとは限らない)である。
日本のポルノの歴史など、誰も興味ないし、世間から決してスポットライトを浴びることがない。だからこそ好きな作品を好きなように作れるNetflixだがらこそなしえた技なのだ。
Netlifxで、全開のジミー大西の伝記ドラマ『Jimmy~ウソみたいでホンマな話』や本作でも共通することだが、日本で製作するドラマが独特すぎひんか?という件。
ジミー大西の伝記ドラマもめちゃくちゃ面白かったが、題材があまりにもトリッキーすぎる。唯一まともなドラマは又吉の小説『火花』のドラマ化のみである。
あの作品も最後はワケのわかない展開(ディスっているわけではないです)になるので、結局Netflixが日本で製作するドラマはちょっと訳ありの題材が多い印象。
ただその題材は、Netflixにしかできない唯一無二な作品ばかりなので、これからも日本のアンダーグランドをせめる作品をどしどし作っていただきたい。
おそらく本作の終わり方的に、シーズン2を見据えている。
もしあるなら第二章は平成が舞台に、楽しみだ。
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びぇ!