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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

韓国映画『親切なクムジャさん』あらすじ感想:韓国の清純派代表女優が魅せる恐怖の復讐劇

poster of korean movie Lady Vengeance

CJエンターテインメント

幼女誘拐・殺害の無実の罪を着せられ、13年間の服役を終え出所してきたひとりの女。そんな女が次に企むことはただひとつ。

 

復讐。

 

「親切なクムジャさん」(친절한 금자씨) を観てみよう。

 

女は復讐すると誓った。

みなぎる復讐の念を心に溜め続けた女はついにその邪念を晴らすため、女の復讐劇がはじまる。かつて仲間だった男に裏切られ、最愛の娘は祖国から遠いオーストラリアへ養子に出される。

 
犯罪者の娘など韓国では生きて行けない
美しい女の残酷な殺人はメディアでも大きく取り上げられ、世間のバッシングの的となった。美しい女の残酷な殺害劇などと揶揄され、やってもいない罪で頭をさげ、服役することとなる。そんな彼女はまわりの服役者に"親切なクムジャさん"と言われ、お利口さんに刑務所での生活を過ごす。
 
いつも笑顔を絶やさず、汚れ仕事でさえも喜んで引き受けた。
 
美しいその笑顔の裏腹に潜む殺意と復讐心は、誰も知るよしはなかった。
 
最初のシーンは異変を極めていた。
あたり一面に雪が降る地に犬の胴体で顔は人間男の、ユニコーンのような生物を撃ち殺すクムジャさん。
夢の世界での想像のだろうが、発想は奇抜でユニークそのもの。ヤクザの極道のように、小指を包丁でぶった切ったり、さんざん拷問したあげく、銃弾を額に撃ち込む。
 

国民的清純派がサイコに?

one young lady and one fat lady talking

まわりからのあだ名は親切さん
主演を演じたのは、「JSA」などで知られる女優イ・ヨンへ。
日本でいう新垣結衣のような透明感と圧倒的な人気を誇り、お嫁にしたい女優ランキング1位に輝くなど、男性から熱い視線が送られる。
その人気は韓国国内に留まらず、あの北朝鮮の故金正日総書記がイ・ヨンへの大ファンで、彼女の映画のDVDを持つほど、各方面から絶大な支持を集めるのだ。
そんな絶対的な女優が、復讐に取り憑かれた冷酷な殺人鬼を演じる。にっこりと笑顔を見せる裏腹で、人を拷問し、殺害する
 
考えてほしい。
あの我らの新垣結衣が銃を持って、にっこり笑みを見せながら、引き金を引く。出所後の復讐心に取り憑かれた女の形相と、クムジャさんの切ない過去が同時進行で描かれ、徐々にその心の内が理解できるようになる。
 

知られざる過去

one young lady with Purple shadow

紫のアイシャドーを塗りたくる
目元に太めの紫色のアイラインを引き、復讐に明け暮れるクムジャさん
実はそんな残酷と揶揄された女には悲しい過去があり、昔のピュアだった自分と世間から殺人鬼とバッシングされるいまの自分を重ねて描かれる。
いくら冷酷な女とて、ひとりの娘を愛し、大事に大事に育てようと改心した最中、娘と引き離され、どこへいっても白い眼差しを向けられる。
そんな壮絶な人生を歩んできた悲しい女でも、親切なクムジャさんと言われるほど信頼され、常に笑顔を絶やさない強い女性であった。
 
たとえその笑顔の裏にとてつもない殺意があろうと、ニコッと笑うその笑顔そのままでにとを殺そうと、ひとりの娘であり、親であることは間違いない。
そんな力強い女性を清純派代表のイ・ヨンへが体当たり演技で披露するから現実味が湧くし、彼女への印象の変貌や意外性がはじめてそこで生まれる。
 
"酸素のような存在"と一時言われるほど、その印象がクリーンで清楚なヨンへは憎たらしい顔で殺害を犯すは、若い男の子を誘惑する悪女の片鱗もさらけ出す。
他にも、「オールドボーイ」のチェ・ミンシクや、「7番房の奇跡」や「グエムル漢江の怪物」のオ・ダルスが出演。
 
「麻薬王」で知られる韓国屈指の個性派俳優ソン・ガンホが友情出演するなど、キャストが豪華であり、遊び心がある。
本作を復讐三部作の最終章と位置付けた韓国を代表するパク・チャヌクが監督を務めた。はじめの二作の「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」や、人間ではない存在の三部作を製作するなど、国内外から注目を浴びる。
 
「お嬢さん」ではエロティックな表現にサスペンス要素を入れ、カンヌ映画祭では拍手喝さいを受けた。そんな韓国を代表する監督とザ・清純派代表のイ・ヨンへがタッグを組んだ。
ある女の復讐劇。韓国らしい心強い女性像と予想できないストーリー展開はまさに秀逸だ。
 
びぇ!