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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

本当に怖いのはコロナじゃない

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中国から発生したコロナウィルスは次から次へと感染者を出し、ものすごい勢いで世界中に広まった。国によっては経済活動が停止し、都市封鎖までする国まで現れ、日常生活に支障が出るほどめまぐるしい被害がでている。
 
特に高齢者の致死率とその感染力は想像以上で感染者の数が発祥地の中国をアメリカが超えるなど世界的に大流行してしまっている。アメリカのネットではアメリカの感染者が一位になると自虐ネタであふれたり、地域や人によってその受け止め方は違うらしい。
 
発生直後から迅速な対応と若きエンジニアの活躍によってほとんど感染を許さなかった台湾、イタリアからヨーロッパ全域に多数の死者を出してしまったEU諸国、そして「俺らは大丈夫だもん、だってアメリカだぞ」と言ったようにあぐらをかいていたアメリカ、そして世界中からなぜこんなに感染者がでないのか理解できないと専門家を唸らせた日本。国によってその国民の受け取り方や対応が違う。
 
今回のコロナウィルスへの捉え方を見ていると、文化の違いやその国の危機管理能力など国によって全く違うウィルスなのかと勘違いしてしまうほど対応の差が激しい。コロナの感染経路をチャプター毎に辿って行くと、
 
Chapter 1 : アジア
Chapter 2 : ヨーロッパ
Chapter 3 : アメリカ
 
といった順に感染が拡大していった。Chapter1で発生源の中国はもう既に85%以上が正常運転しているなど、過去に何度もウィルスを封じ込めてきた中国の対応は迅速な対応と都市を丸々閉鎖して病院を一週間で作ってしまうなどさすがとしか言えない。
 
WHOとの癒着や情報の隠蔽など中国らしい問題はあるが、あれほど大規模に感染拡大を食い止めたのは正直驚いてしまった。2003年のSARSのときも都市閉鎖からの病院を作ってしまう今回のような対策は今の西洋諸国にはできないことだろう。
 
では中国が必死こいて病院作りをしている頃、ヨーロッパでは何が行われていたかというと、人々は人混みでサッカー感染やらクラブでいつものようにしていたのだ。中国や韓国で急拡大する中、Twitterではヨーロッパの人たちが集団でサッカーを応援したりしている映像がごまんと流れてきていた。
 
その後、数日でヨーロッパ全域に感染が拡大、イタリアでは猛烈な被害を出すほどまで発展し、最終的にイギリスのジョンソン首相まで感染してしまう事態に。彼がTwitterで感染したことを発表すると、感染者と気楽に交流していた彼に厳しい言葉が降りかかっていた。
 
ではその頃アメリカでは?というと相変わらずトランプは再選しか目にないし、株価が暴落をはじめると、中国ウィルスと名指しで批判し、国際社会から白い目で見られていた。
 
結果的に既に「中国ウィルス」は人種差別にあたるとして、さすがの彼も途端に使うのをやめたが、この状況下で経済活動を再開するといいはじめるなど空いた口が塞がらない。
 
さらにワクチン開発を行っていたドイツ企業にアメリカへ独占供給を裏で交渉していたことが表向きになると、再びトランプはEUから集中攻撃される。
ここまで自己中心的な人間が一国の大統領になぜ未だに座っているのか疑問でしかないが、アメリカのコロナへの医療は本当に馬鹿げている。
 
CPR検査を受け陽性だと無料になり、陰性だと検査料1,200ドルかかる。そしてコロナへの財政出動で最大1,200ドルのチェックが全国民に配られるのが決定したが、陰性の時点で補償額がそのまま持って行かれる。は?は?は?もう怒る気が失せて失笑してしまう。
 
悪口を書き始めると終わる気がしないので、ここで一旦別の話題へ。アメリカに住んでいる日本人として正直コロナは大きな問題ではない。もちろん心配はしているが、感染症の拡大より危惧していること、それは人種差別だ。
 
トランプが中国ウィルスと名指しで発言したことで全く関係のないアジア人が標的になり、世界中で悪質な人種差別が後を絶たない。イギリスで暴力を振るわれたシンガポール人留学生や中東で日本人女性がコロナ呼ばれされ、髪を引っ張られる事件など世界中でアジア人に対する差別行為が横行しており、トランプは間違いなくその差別に加担したのである。
 
僕の住んでいる北カリフォルニアはCAとしては白人が大半を占める珍しい地域なため、アジア人は体感で数えるほどしかいない。さらにCAは民主党支持の州だが、僕の地域はCAの中でも珍しい共和党支持が過半数を占める地域だ。そんな状況でコロナの感染がアメリカを襲ってきている。
 
僕はコロナという伝染病と戦うプラス、人種差別という見えない新たな敵の両方と戦わなければいけないのだ。実際悲しいことにコロナの感染が知れ渡ってから人種差別をされる機会は多くなった気がする。
 
アメリカに住むアジア人として人種差別はあるのでしょうがないが、コロナという感染症と人種差別のダブルパンチを食らい、倒れては起き上がり立ち向かうことを繰り返している。
 
それを裏付けるように、銃器店にはアジア系の人たちがこぞって集まり銃を買い占めるおかしな社会現象が全米各地で起こっており、白人がトイレットペーパーを買い占めている中、アジア人は銃器の買い集めをするという少し面白い現象になっている。
 
普段から街中にアジア人がいるだけで少し目立つので、僕のことを知らなくても見たことある人は多く、そこまで過激な暴力沙汰はないと思っているが、彼らはブラックジョークとして帽子をマスクのように口元に当ててニヤニヤしたり、小学生程度の差別行為は確実に増えた。
 
渡米した当初は一回されるだけで結構萎えたりしたが、もう二年もこの国に住んでいるとそんなものは挨拶にしか見えず、ただPoor Guyと心で思うだけだ。これは僕の個人的な意見だが、ある程度人格形成されてると人種差別を治すのは容易ではないと思うので、ただ無視するだけだが、友達によっては毎回のように怒る人もいて少し尊敬する。もうそんなバカにエネルギーを僕は割きたくない。
 
最後に日本について海外に住んでいる身として感じたことを書き残しておきます。上記のように世界からみると、日本でのコロナの感染状況に首を傾げている専門家は少なくない。
 
発生源の武漢を一瞬で閉じた中国ですら国中に感染を許してしまったのに、まともに入国制限を初動から引かなかった日本にはなぜこんなに感染者がいないのか彼らは不思議なのだ。
 
検査をした母数が圧倒的に少ないから数字として出てきていないだけ説や国民ひとりひとりの予防への対応がきっちりしている説など、専門家によって意見が分かれるが、理由はひとつではないことは明確だろう。
 
ただ日本の友達のインスタや家族から聞いたところによると、彼らはいまだに桜を見に密集した電車に乗って人が密集する桜を見に行ったり、何も気にすることなく海外旅行にいくなどあまり日本人がコロナに敏感に対応しているようには見えない。
 
海外のTwitterアカウントをフォローしていると世界各国のコロナへの危機管理力が相対的にわかるが、日本がヨーロッパに比べて特別対策をしているとは思えず、なぜこれほど巧妙に封じ込みに表向きには成功しているのかイマイチ理解できない。
 
ただ日本人は西洋諸国よりは、データによると普段から最低限のエチケットとして手洗いやうがいはしているようなので、日々の生活週間に差がでているのはあるかもしれないが、真相は謎である。
 
僕がこのコロナを通じて最も言いたいことは人間の同調圧力がいかに怖いことかである。急激な感染を許してしまった国たちに共通することは、まわりが心配していないから外出は別にいいかとか、みんなが桜を見に行ってるから大丈夫だという感情はとても危険なこと。
 
例え若者にはあまり深刻な病気でなかったとしても若者層が無意識のうちに高齢者の人たちに感染させ、免疫力の低い彼らが苦しい思いをしてしまう。他にもアメリカ人はマスクは病気の人がする人であり、あまり効果がないと本気で思い込んでいる人がとても多い。
 
だからいくらコロナが急拡大しようと彼らはマスクをしないし、マスクをしている人をみるとコロナ感染者だと白い目で見られる。さらにマスクをしている人がアジア人だと疑惑が確信に変わってしまう。
 
本記事に書かれていることは僕個人が実際に感じたことであり、コロナへの対策や真相は専門家ではないのでわからない。だが、コロナウィルスというパンデミック下で色んなことが明確になった気がした。
 
読者の皆さん全員が健康なことを祈ります。