映画「ファタスティックビーストと魔法使いの旅」の感想:魔法のファンタジー物語はじまる vol.2
"アクシオ!"と細長い棒を振りながら叫ぶ。
まるで中二病の遊びの一種のようだが、よくこれを学生時代に友達としたものだ。
日本語でも英語でもない、聞きなれない言語で、カッコイイと思う音だけを連呼しながら友達とじゃれあう。
ちょうどハリーポッターが流行っていたころ、学校の休み時間に覚えたての呪文を引っさげ、バトルを繰り広げた。
どうしたら勝ちになるのか、そんな決まったルールはなかったが、その時代の僕らにとって勝ち負けなどどうでもよかったのだ。
ただ映画の世界を体現したい、そんな想いしか頭にはなく、いま思えばよくそんなしょうもない設定で友達と笑いあえたものだとぞっとしてしまう。
意識高い系のやつは僕らが横で呪文を唱えあっている間、本当の世界を本を通じて体現してたのだと思う。
読書家の友達たちはこぞって図書館に集まり、発売されたばっかりのハリーポッターの本の強奪戦になっていた。
大の本嫌いだった僕が、図書館にいくときなんて友達が隠し持っていたエッチな本をコソコソ隠れて読むくらいだった。
その時代から長らく時間が経ち、そんな少年も本を少しは読むようになったと思う。
何冊もの分厚い本がアドベンチャーの世界を与えてくれたように、シリーズ化した映画は、本を全く読まない僕にでも、その素晴らしい世界観を共有してくれた。
そんな壮大なスペクタルドラマも終わりを迎え、大人になるのと当時に、僕らの間での流行りも廃れていった。
そして今回数年ぶりの新作が映画化されるという報道。しかも主演が大好きなエディ・レッドメイン。
彼が主演した「博士と彼女のセオリー」で、アカデミー主演男優賞を受賞したときのスピーチで、僕は彼のトリコになってしまった。
男女問わず中性的な魅力を兼ね備える彼の感動のスピーチをとりあえずみてほしい。
このなんとも言えない魅惑の色気に、いかにも真面目そうな目。
そしてバケモノ級の演技を披露しちゃう。
それに比べ、ハリーの芋臭さや変な童貞感が自分にはうまくハマらず、好きではなかった。
ロンも芋っぽいし、ハーマイオニーは突如現れた空前の天才キャラ。
そして、ザコキャラを束ねるジャイアン軍団ドラコといかにも悪役感満載の父ちゃん。
「ハリーポッター」シリーズでも少しだけでてくる、植物図鑑を作った偉人を主人公として、エディ主演のスピンオフ映画というのが、本作の背景だ。
ジョニー・デップの謎キャラ感や、デブの愛されマグル(人間)、そして僕のドタイプの女性などラインアップだけみると最高なのだ。
ただ映画の構成に若干の違和感を覚える。シリーズ史上初のアメリカ上陸や、キャストが一新され、新たな気持ちでハリーポッターの世界観を楽しめた。
だが、ノー・マジ(人間)と魔法師との対立の描写が雑すぎたように思える。
龍みたいな竜巻くんが暴走し、街が粉々に。穏便なニューヨークの街も被害が甚大で、一般社会にまでその影響を被ることとなってしまう。
警察の慌ただしさや、街を包囲するまでの過程が一切なく、カットが切れるとなぜか警察が綺麗に配列し、銃を乱射する。
お前らはいったいどこからきたの?と言わんばかりのツッコミを入れたくなる。
英国屈指のイケメン俳優エディ・レッドメインが主演を務め、B級映画俳優上がりのジョニー・デップがいい味を出し、「ロブスター」で知られるコリン・ファレルの安定感。
ただファンタビ一番の偉業はなにかと聞かれれば、ファイン・フレンジーを発掘してきたことと一瞬で答える。
それほど彼女には美貌と他と比べ物にならない人を惹きつける何かを兼ね備えいるのだ。
びぇ!
65点/100点
普通に楽しめました!