Movie Magic

アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

雨に掻き消されながらも生きた声が聞こえる。

cheap taxi in Philiphine

日本では梅雨が明け、これから本格的に夏が来る6月後半、僕はフィリピンにいた。何千もの島からなるこの国は、日本と同じ島国。同じのアジアの国で、真面目で勤勉であり、謙虚さを兼ね備える国民性など日本と似ている部分が多い。

 

最近では、セブ島をはじめ日本人の留学先として、物価が安い、英語が綺麗などを理由に人気を博している。数年前までは治安に問題があったが、数年前にドュテルュテ大統領が、半ば強引に犯罪者を一掃し、懸念されていた治安もよくなってきているという。

 

これから経済的に陰りを見せる日本に対して、未来しかない東南アジアの中でも、フィリピンは活氣に溢れ、漲るエナジーに圧倒された。僕はこれまで東南アジアだと、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、タイに行ってきた。

 

その中でもフィリピンは公用語に英語が含まれており、現地人のほとんどに英語が通じる。国境の垣根を超え、よりグローバルになった21世紀において、英語が通じる国はとても貴重。

そんな観点で東南アジアと覗いてみると、マレーシアやフィリピン、そして行ったことないがシンガポールは大いに未来性を感じざるを得ない。

 

フィリピンは湿氣が多く一年中蒸し暑い。首都マニラは人でごった返し、ゴミと生活音で溢れかえる。ニノイ・アキノ国際空港に降り立つと、ムワッと感じる熱氣と風に乗って漂うゴミ臭を感じ、思わずニヤケてしまう。

そんないろんな臭いが入り混じった臭いは東南アジア独特で、たまにこの臭いが恋しくなり、またこうして戻ってきてしまうのだ。たぶん自分はとてもドMだと思う。こんな臭いにシンパシーを感じ、時折日本から懐かしんでしまうのだから

 

まあそんな話はさておき、今回の旅行は大きなトラブルに見舞われた。100%自業自得だが、クレジットカードが使えない事件が発生。フィリピンに着いて使えないことに氣付き、カード会社に電話したり、チャットで上限を上げろだとか、お金を先に振り込むからクレカを使わせてくれだの色々ごちゃごちゃしてしまった。

 

そのおかげでクレカでの支払いが必要な飛行機は使えず、行きたかったセブ島にも行けなかった。はっきりいってセブの綺麗な海を見れず、ルゾン本島から離れなれないのが決まり、2日目にして暇を弄ぶ。

 

ヨーロッパや日本と違い、観光地チックな有名な場所はほとんどなく、あるのはあたりに広がるゴミとゴミの山。とりあえずやることがないから、ダウンロードしてきた映画を見漁り、時間を潰した。

 

そして、夜は夜の街に駆り出し、バーにひとりで行ってはその辺にいた人と戯れ、お酒を飲み、バカ笑いするといったゴミさ。無造作に散らかったゴミと僕はたぶん変わらなかったのだと思う。

 

世界遺産に登録されているからと首都マニラから10時間かけていったラワグやビカンはどこをみて世界遺産にしたのか選考員に問い正したくなるほど何もない。もうクレカが使えない&観る場所が一切なくて、やることがない。

 

毎日のようにバーに出入りし、ふざけたショーを傍観しながら、ウロウロしているとなぜか日に日に横に座る人間が増えてく。じゃあ明日もここで集まろうぜ!と言って夜2時に解散し、また次の日の8時に同じ場所に集合する。

 

これを続けていると、俺の家来いよ!とかあそこ行けよ!とかいろんな情報が耳に入ってくる。

 

そして、僕は決めた。

流れに身を任せ、勧められた場所に行く。ある人がビカンに行け!と言ったらなにがあるか知らないけど、行ってみる、サンフェルナンドに俺の実家あるから、暇なときこいよ!と言ったら行ってみるといった感じだ。

 

大きなパックパックを担ぎ、勝手氣ままに、思いついた場所に行っていると、ほぼ全員から同じことを言われる。

 

Are you traveling alone? 

 

Why? 

 

まずこれは欠かせないみたい。

フィリピンの人から見るとひとりで旅行してるのが理解できないらしく、いつも目の色変えて不思議そうな目を向けてくる。

 

ホテルもチェックインをしようとすると

 

Are you alone sir? 

 

と聞いてくるので、そうだよ。と答えると謎の間が空く。

 

Oh okay...sir? 

 

もうこのsirがいつもツボすぎて笑ってしまう。

 

フィリピン人は観光客にとにかく敬意を示す国民で、なにかとあるとすぐにSir(敬意)をつけてくれる。アメリカでは一度もそんな経験したことないのに、同じ英語を使う国民とは思えない違いだ。

 

次に聞かれる質問は、僕がこれまで行った場所を話してると、なんでここ行ったの?と聞かれる。それはどこどこで会った人にここに行けを言われたから来たんだと言う。

 

するとこんなことが必ず帰ってくる。

 

Don’t trust people easily, okay? 

 

フィリピンは治安的に考えるととても危ない国である。

僕が勝手にフィリピンへの航空券を買ったと母親に告げると、それから毎日のように、どれだけフィリピンが危ない国なのか調べては、記事を送りつけてくる母親を思い出すが、その中でも外務省の公式ホームページを見せてきたときは思わず笑ってしまった。

 

その国の治安を色で表したそのサイトでは、フィリピンは国全体が真っ黄色だった。たぶんフィリピンの人から見たら、僕があまりにも人を簡単に信じてしまうからとても心配してくれていたのだと思う。

 

ここで僕がひとつ思うのは、疑うことも重要だが、少しは信じてみてほしい、ということだ。たしかに世の中には変な人もたくさんいるが、心優しい人はそれ以上にいる。僕はこれまで10カ国の国をほぼひとりで旅行してるが、どこに行っても人を信じるというスタンスは変わらない。

 

日本に興味を持ってくれている外国人がいることが嬉しいのと同じように、世界中の人たちは自分の国に興味を持ち、訪れてくれていることを感謝している。そんな人たちがたくさんいるのに、僕たちは危ないかもしれないから、距離を置き、常に疑う。

 

これほど失礼なことはないし、悲しいことはない。

自国を誇りに思う人たちが必死の思いで、自分の国を楽しんで帰ってほしいと思う中、訪問者自らが疑念の思いを抱きながら、現地の人と接する無念さ。ただそんな人たちだけじゃないというのが、現世だ。確かに旅行していると、日本から来たというとお金持ちだと思われ、スリに会ったり、詐欺の標的にされやすい。

 

これも悲しいが、ひとつの事実である。

僕はパックパックを担ぎ、いつもひとりで旅行をするが、一度もそんな被害に遭ったことがない。もちろん、それが今日起こるかもしれないが、僕がいつも心がけていることがある。

 

それは自分の勘に頼ること。

これまで色んな人と会って会話をしてきたが、その人を信じていいのか、いつも直感で決める。この人が直感で違うなと思ったら、僕は一瞬で身を引くし、この人だ!と思ったら全力で信頼する。

 

逆の立場のときを考えてほしい。

海外からの友達を自宅に招くとき、向こうの人から距離を感じ、疑いの目を向けられていることを。もしそんな人間だったら、こっちは全力で向き合っているのに、何故招かれる方に疑念の目を向けられるのか、怒りを覚えるだろう

 

わざわざ心を開いてくれている相手に、こちらから疑うのはあまりにも性に合わない。それならば信じると決めたなら信頼したほうがいいし、中途半端が一番よくない。こんなことを言うと真面目な大人たちからは、お前は世の中を知らなすぎるだとか、甘すぎると言いはじめる輩が必ずいる。

 

そんな輩は本気で現地の人たちの懐に入ったことがないだろうし、本当の意味で人と心で会話する経験がないんだろうと思ってしまう。これは危ないからするな、これも危ないことになる可能性があるからするなと、言うのは公園でボール遊びをするなと注意する老害と一緒

 

もちろん、疑い自分の身を守るのも重要なことだが、信頼仕切ってみると見えてくる世界が違うというのを、僕は身をもって感じてきた。海外の人たちが対象になるとそれなりに会話するために英語は必要になるけど、心のこもった会話と疑念の念が籠もった会話は相手も感じるよ。

 

いまカフェにいながらこの文章をつらつら書いている。雨季のフィリピンは突然のスコールによく見舞われる。観光客が多いこの場所は、欧米人や日本や韓国人はカフェで雨宿りをする。

 

定員さん達は笑顔で僕らのコーヒーを注ぎ、チップを待つ。そんな平凡な日常が続くカフェの外には、ずぶ濡れになりながらも行き場所を失った少女がこちらを見つめる。

 

お兄ちゃんお金を恵んでよ。

 

雨にかき消されて声は聞こえてこないが、そんなメッセージが伝わってくる。こんないまも小さな子供たちが道端でご飯を恵んでいる横に綺麗な女性が通り過ぎると目でそちらを本能的に追っかけてしまうんだ。

 

 

びぇ!