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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

Netflix『13の理由』シーズン3第4話5話6話あらすじ感想ネタバレ:トニーが失踪?タイラーが犯人?

Byce's funeral the scene from tv show 13 reasons why seasons3

©Netflix

ブライスの犯人はどこにいる?

いじめや暴力、ドラックなどティーンの青春時代と常に隣り合わせで、複雑な青春時代を生きる彼らを描く学園ドラマ

Netflixを代表する大人気なテレビシリーズのひとつであり、悩みを抱えるティーンを手助けする活動を精力的にしています。

 

各話のあらすじと感想はこちら 

さぁ『13の理由』シーズン3の前半パートを締めくくろう。

 

サクッとあらすじ

第4話怒れる若い男

Tyler looking ar here scene from tv show 13 reasons why seasons3タイラーは銃の乱射未遂事件を起こし、サイコ的な部分があった。

ブライスが銃殺とわかる前に、ガンコレクターだったタイラーは、主人公クレイに処分を頼んだはずが、まだ彼は一丁隠し持っていた。

銃殺の報道と共に、タイラーが隠し持っていた銃の存在を明かしたため、さすがのクレイもタイラーの犯行を疑ってしまう。

さらにタイラーには、ブライスを殺す動機がある。ブライスからのいじめやブライスが春祭りでのタイラーの銃乱射未遂事件の全貌を知っていたため、その口止めに。

その疑惑をさらに強固なものにするかのように、タイラーのパソコンからブライスの遺体の写真が見つかる。クレイはタイラーの犯行を確信し、本人に詰め寄る。

 

だが、タイラーは犯人ではなかった。彼は現場にいて、匿名にブライスの死を通報しただけだったのだ。彼は何度も人生に先が見えず自殺未遂を繰り返していた。

遂に心を決め、川に身を投げるために行くと、発見したのがブライスの遺体であった。そこで自分をいじめてきた憎い人間を目の当たりにすると、なぜか肩の荷が降り死にたくなくなったと彼はいう。

タイラーの回想シーンとブライスからの一方的ないじめシーンなど、彼らふたりを物語るエピソードであった。

ブライス自身も、自分がやってしまった過去の過ちと、これからレイプ魔のレッテルを一生背中に背負って生きていかなければいけない後悔が入り混じる。

 

タイラーはブライスからのいじめに悩み、そしてブライスは過去の自分の行き過ぎた行動に深く後悔をしてる。

立場は違えどお互い誰からも必要とされず、世の中から無視された存在だったのだ。

タイラーへの疑いが晴れると、捜査は新局面を迎える。ブライスの死は銃殺ではなく、殴打による死であった。

ここから警察は本格的に殺人事件として捜査に乗り出すことになる。

第5話誰もクリーンじゃない

殺人事件に舵を切り、本作的に捜査に乗り出した警察。事件現場から血痕とステロイドが発見された。

するとすぐにリバティ高校にガサ入れが入る。真っ先に疑われたフットボール部からステロイドが案の定見つかり、警察は高校全体を捜査対象に。

ブライスがステロイドを売りさばいていた大元として、その繋がりから犯人を割り出そうとする警察。

ブライスと中の良かったモンゴメリー(スネ夫的ポジのキャラ)はすぐに証拠隠滅を図る。

Ani and Cley talking something scene from tv show 13 reasons why seasons3それを嗅ぎつけたクレイアニはモンゴメリーの後を追う。

短期で自制できないモンゴリーの物語がここではじまる。彼は家庭内暴力を受け、怒りの落としところを知らない彼は、弱い人間を痛めつける。

さらに彼はゲイであった。だが、彼は自分の理想の男からかけ離れている自分の性的な趣向や暴力を受けた日頃の経験からゲイである自分を嫌う

ときに彼はセックスをした後の男をタコ殴りにしてしまうなど、モンゴメリーは自制が効かない上、自己嫌悪がさらに暴力へと変わる。

さらにモンゴメリーとブライスの関係を追っていると、アレックスの姿が浮かび上がる。

アレックスは銃を自分に向け足を悪くし、ジェシカ(学校のマドンナ&レイプの被害者)と付き合っていた男だ。

アレックスはブライスとコカをやったり、ステロイドをやる関係で、深夜の人の家に押し入るなど共に犯罪に手を染めてしまった。

Alex who is white guy scene from tv show 13 reasons why seasons3

(アレックス)

ついに明日ブライスの葬式が開かれる。裏で思惑を働かす者たちの存在に、アニはブライスの倉庫ガレージであるものを目にするのだった‥

第6話悲しみ方でその人が分かる

ブライスの葬式がはじまった。

ブライスの実の父親も登場する。

それがこの人が本当にどうしようもない輩なのだ。息子の葬式に酔っ払ってくるし、結婚式のような笑みを浮かべながらも、ゲラゲラ笑いながら親族に挨拶まわりをする。

ここでなぜブライスが暴力的で横暴な男になってしまったのかが、垣間見れるのだ。

彼もまた寂しい人間で、家は立派なお金持ちながら、実父は浮気性な上、アルコール依存症だった。

お金がいくらあろうと父に構ってくれない幼い男児は、それ以上残酷なことはない。

彼はモンゴメリーと同じくその寂しさを埋めるために、他から愛されるために、金を振りまき、ときに横暴的に愛を欲しがった。

彼は生前問題を起こしたレイプ魔だったが、母親にとってはそれでもたった1人の愛する息子である。葬式でもレイプの被害者たちは横断幕まで用意し、葬式で訴える。

母親は息子が最低なことをしたとしても、ひとりの息子を思う母親として、泣きながら彼の死を悲しむ。そこに突如現れたデモ隊の存在。

このドラマでは、アメリカの富裕層の白人家庭を皮肉る存在として、常にブライスは嫌悪されていた。

だがこの日だけは彼の死を悼むはずだったが、デモ隊が暴れて、息子との最後の時間まで奪われる母親。

Toni scene from tv show 13 reasons why seasons3

(トニー)

話はここでトニーに変わる。

彼はシーズン1でクレイの親友として、様々な局面をクレイと共に乗り越えてきたヒスパニック系移民だ。彼はゲイでもあり、学校にあまりいかず、パディアの修理工として家族を支えていた。

そんな彼だったが、彼にも秘密があった。トニーが警察に捕まっていると聞き、急いでクレイらは彼のもとに向かうと、彼の家族がどこかへそのままいなくなっていた。

入管だった。

不法移民を取り締まる入国管理局によってトニーの家族は強制送還されてしまう状況にあったのだ。

想像してほしい。昨日まで家族と普通に食卓を囲んでいたのに、明日には家族が切り離され、どこにいるかわからない状況を。

 

トニーの父親はサンディエゴに収監され、娘と母親はどこにいるかもわからない。

フィクションではなく、実際にこれはアメリカで起きていることだ。次の日には家族がどこか知らないところでまるで犯罪者のように扱われるこの事態を再現している。

ここで話は警察の捜査に戻る。彼らはダメ元で過去の映像を捜査していると、クレイがブライスの家に押しかけ、銃を突きつけている映像が映し出されていた。

ここで捜査は急転換を迎える。クレイが犯人なのか?

 

感想

Tyler with sad face scene from tv show 13 reasons why seasons3

(暴力を振るわれるタイラー)

『13の理由』シーズン3の前半パートが終盤を迎えた。

素晴らしいシーズンになりそう、そんな予感がする。

シーズン2のゴタゴタした状況でダメ元でシーズン3を見始めたが、前半パートは本当に秀逸で、今のアメリカを学生目線から風刺的に描いている。

アメリカには数え切れない問題がいまもなお存在するが、このドラマを見れば、「いまアメリカで何が起こっているのか?」がよく分かる。

特に第4話はベスト・エピソードで、何度も見返してしまったくらい、、、素晴らしい。色々どう表現するか考えたが、この言葉以外見つからない。

 

ブライスとタイラーはいじめっこといじめられっ子で真反対の立場にいる人間なはずが、このエピソードでは、彼らの心理的描写から共通点を見出し、彼らがいかに環境から影響されているかが分かる。

イラーは人付き合いが苦手で、やがていじめられるように一層孤立の中を生きる心閉じた人間になってしまう。そして自暴自棄に陥り、その発端を探るようになる。

それからまわりに馴染めず、激しい自己嫌悪に陥る。

原因を探ると、いまの環境がそうさせたと感じ、その原因を作った彼らに復讐を込めて自分の意義を訴えると共に、自分が必要とされていないことへ結論つける前に自ら命を絶つという決断を何度もしようとした。

ライスは実父に見放され、金しかまわりにはない彼は、金を使ってまわりに友達強国を作って、自分の寂しさを埋めようとする。だから権力や暴力で友達を支配する。

でもその根底にあるのは、自分のもとから人が消えていくことへの恐怖が彼を襲い、さらなる暴力でそれらをカバーしようとする。

どちらも自分が世の中から必要とされてなく、世の中から取り残された存在で、そこにものすごい恐怖を覚えるのが怖い。

monty and tyler talking something scene from tv show 13 reasons why seasons3

(モンゴメリーとタイラー)

韓国の鬼才キム・ギドク監督の作品は暴力描写がとにかく多いのが有名だが、彼は常に暴力が果たす役割と暴力の裏に包み隠された真意を映画を通して説いている。

暴力をするほど人は弱いし、おそらく恐怖に覆われている。このドラマではブライスは母親からは愛されているし、タイラーも家庭に問題があるわけではない。

一方、家庭的に問題のあるモンゴメリーも、暴力でまた自分を塗り固めている人物として描かれる。

一般的に多くの映画は家庭的な事情が、その人を暴力的にすると結論付ける映画やドラマが多い。

それは嘘ではないが、このドラマでは家族環境以外に、家庭外のコミュニティが人格形成にとても大きな影響を与えると訴えるのかもしれない。

 

正直ここまで心にグッとくる展開が用意されていると期待せずに、このドラマを読み進めてきたが、こうきたかと、正直驚くばかりである。

シーズン2までダラダラとハンナ・ベイカーの死を描いてきたが、シーズン3はまた別の角度から学生社会を描ききっている。

ハンナは女性として、ときに男性から性的な視線を送られ、モノとして女性を下に見る女性卑下的な部分を含めて、学生の生きる現実の辛さを前面的に描いていた。

シーズン3では、男性目線から社会的立場の弱いモノではなく、強いモノの立場から彼らが感じる生きづらさを描こうとする、物語の切り口が画期的だ。

ただブライスの後からのいい人感とタイラーの完全なサイコ的な部分が気持ち悪いほど「製作されたモノ」で若干の抵抗を覚えたのも事実。

『13の理由』はティーンのいじめや暴力の実態を着色して創作されているので、少しオーバーであり、いい人だった人の秘密を暴くと、印象がガラッと変わる。

ティーンの実態をそのまま描いているわけではないが、ある程度作品として上手い位置に着地できている気がする。

前半パートは、ブライス主体のシーンで進みながらも、トニーの家庭からアメリカがいかに人外なことを平気でやっているかを皮肉る描写を描くなど、正直これで終わりたくないほど、盛りだくさんだ。

 

後半パートではどんな展開が待っているか、待ちきれない。

 

各話のあらすじと感想はこちら 

びぇ!