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Netflix映画『バスターのバラード』あらすじ感想ネタバレ:破茶滅茶な西部劇でも賞賛されるコーエン兄弟が描く開拓時代とは!?

poster of The Ballad of Buster Scruggs

Netflix

こんちくわ!Shygonです!

今回はコーエン兄弟が西部劇を描いた

バスターのバラード

について熱く語りたいと思います。

2018年に公開された本作は、ヴェネツィア映画祭で脚本賞を受賞しました。

コーエン兄弟がアメリカ開拓時代を人情的なドラマに仕上げ、皮肉る本作はどんな映画なのか?

 

コーエン世界観

本作は1800年代のアメリカ開拓時代を舞台のアソンロジー的物語です。作者の異なる作品を無造作に選んで、6つのショートドラマを繋ぎ合わせたものが本作の特徴です。

 コーエン兄弟って?

コーエン兄弟はハリウッドきっての売れっ子監督です。

監督した作品が軒並み大絶賛を浴びる現代を代表する監督で、ジョエルとイーサンの兄弟の共同で監督・脚本を務めることが多いです。

兄ジョエルは「スリービルボード」「ファーゴ」でおなじみのフランシス・マクドーマンドの夫です。

 コーエン世界の特徴

コーエン兄弟は毎作多才な監督だなと脱帽します。

というのは「ノーカントリー」のような一般受けするクライムサスペンスを撮りながらも、ちょっとシュールな人情ドラマを撮ることもできます。

さらに「ビック・リボウスキ」のようにカルト的人気作品も撮りますし、なんて臨機応変に対応するなあという感覚ですね。

 

そして、本作では初のデジタル撮影に挑み、アメリカ西部劇に挑戦ですよ!

全く新しいマカロニウエスタン(西部劇)撮ってくるだろうなぁと思ったら案の定、とんでもない名作を作ってきましたよ!!!

 個性豊かなキャスト陣

いつメンと呼ばれる常連俳優さんたちがコーエン兄弟にはいますが、最近このキャスティングから脱却していますね。

本作でも”お!こいつかよ!”って思わせるキャスティングが功を成しました。

イケメン俳優ジェームズ・フランコ、「妻たちの落とし前」などで知られるリーアム。ニーソンやベテラン俳優ブレンダン・グリーソンなど想像たる俳優陣です。

各俳優出演の他作の記事も是非ご覧下さい!

 

あらすじ

様々の背景を持つ作品たちが無造作に詰め込まれたのが本作です。

チャプター6まであり、全てがアメリカ開拓時代で場所・時間・人 関係なく、各賞でキャラクターに焦点を当てて、コーエン兄弟お得意の会話シーンで観客をとりこにしちゃいます。

 第1章:バスターのバラード

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本作のタイトルにもなっているチャプター1です。馬に乗り、西部を呑気に旅しながら歌う賞金首です。

だか、腕のいいガンマンでもあり、のんびり歌いながらちゃちゃっと敵を撃ち抜く男です。西部劇ながら見たことない演出ではじめから観客を沸かせますよ!

死人がいきなり羽根飛ばして歌い出すんですから、コーエン兄弟にしかできない唯一無二の演出ですな!

 第2章:アルゴドネス付近

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ひとりの若いカーボーイが銀行強盗をする様をコメディタッチで描きます。

ガタイのいい若い男のドタバタ劇をシュールにちょっと面白おかしく皮肉る本チャプターはコーエン兄弟の本来の特徴が垣間見れる気がしますね。

 第3章:食事券

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ある老人が五体不満足の若者に聖書やら詩を語らせ小銭を稼ぎ、旅する話です。

凍える吹雪の中でも、生活するために毎日ステージに若者を立たせて、講演会を各地で開きます。

世界の非情さが凝縮された20分で、厳しい世の中を風刺するダークコメディです。

ワンシーンで、リンカーンの言葉 「人民の人民による人民のための政治」を暗唱するように訴えますが、五体不満足の若者がいっても人々には一切響きません。

まさに現代社会を風刺する様ですね。

このチャプターはコーエン兄弟が20代のときに執筆したものが原作です。

 第4章:金の谷

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金の山をいつかいつか掘り当てようと毎日のように穴を掘る中年男性を描きます。毎日朝から夜まで土の中に埋まっているであろう金の山を信じ、信じ続けます。

グラミー賞歌手のトム・ウェイツが山師を演じ、毎日金の山を夢見る男を熱演しました。作家のジャック・ロンドンのショートストーリーが原作。

 第5章:早とちりの娘

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兄妹が新天地オレゴン州を目指して旅する途中、兄が不意に亡くなってしまいます。

そんな中求婚された妹のピュアな心情を中心に描かれます。

 

だんまりした魅せるシーンでも、緊迫したシーンでさえも温度を変えずにテンポよく描く様はまさに絶妙です。

どんな悲劇さえも危機的状況でさえも軽くやってのけるのが男のロマンであり、西部劇の見応えたるもの。

その部分が忠実に描かれていたのでこのチャプターが一番西部劇ぽいのかもしれませんね。

アメリカ人作家スチュワート・エドワード・ホワイトの作品をもとにアイディアを膨らませたそうです。

 第6章:遺骸

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馬車に乗った経歴それぞれの5人が目的地のホテルまで着くまでただ会話するシーン。

フランス人、アイルランド人、イギリス人、金持ち中年女性、そして、特徴が特にない小デブ。

馬車に揺られながらどうでもいい世間話をひたすらするだけだが、こここそがコーエン兄弟の見どころだと思う。

 

国際豊かなキャラクターが話す話全てが皮肉っててシュールなコメディ

イギリス人特有のブラックジョーク(あれがなぜ面白いのか理由がいまでもわからん)やフランスとアイルランドの訛りの話などただ聞いていて楽しい会話、それ以上なく、それ以下もないただの会話集。

 

コーエン兄弟が仕掛ける罠とは?

西部劇と聞くと西部劇の金字塔「続・夕陽のガンマン」「ウエスタン」を思い出します。暑さを感じる日中の中、風が吹き荒れるもその一瞬を逃さず相手を仕留める

それが西部劇の王道であり、それこそが西部劇という部類の映画です。

 

高校のときはじめてマカロニウエスタンとやらをみたとき''カッコイイ!!!''と思った僕からしたらこんなんは西部劇なんかじゃない。

だってはじめのチャプターから死人が羽根を生やして呑気に歌い出すし、ゲームに負けtてもノコノコ歌い出す始末。西部劇で男は負けたら、黙って身を引く。

これがルールですが、はじめからこれをぶち壊してきたコーエン兄弟はなにを気だ?と自問自答を始めましたよ。

 

そして、違和感2。映像が綺麗すぎる

これもいままで僕が熱狂してきた西部劇じゃない。フィルムの良さと言われる色の出方、デジタルがいまだに出せない味が消えとる!まさかコーエン兄弟がデジタル撮影??

と頭によぎりながらも見た後に調べてみるとコーエン兄弟本作でデジタル撮影初挑戦と書かれていました。

 

冒頭シーンで「デッドプール」みたいに画面に変な陽気なおっさんが話し出すし、

は?は?は?が続きましたが、いつのまにかにいつものようにコーエンワールドにどっぷりハマだちゃいましたよ。

 

西部劇かと言われるとそうは思いたくないけど、コーエン兄弟しかできない表現方法で、彼らなりの西部劇を作り上げているのです。

イタリア製のショートストーリーがいくつか集まった映画が好きでそんな映画を作ってみたかったとインタビューで語っていますが、どうイタリア映画をみたらそうなるのか正直理解不可能だったし、もうまさに天才兄弟って言いたいです。

 

なぜかいつも僕をトリコにしてしまうコーエン兄弟が存命する時代に生まれて幸せや。 

 びぇ!

 

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