Movie Magic

アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

特技はたまごかけご飯に醤油を適量かけることです。

how looks like in class of college

アメリカの大学の授業がはじまった。

学校によっても異なるが、アメリカの大学は8月~9月から秋学期が始まり、12月の半ばに冬休みに入る。生徒たちは決められた時間に教科書を持って、指定された教室に行き、教授の気分のままに雑談が始まる。

「今週見た映画ある?」とフランクな話題を振る先生もいれば、スタンドアップコメディを突然始めるプロフェッサーもいる。人それぞれだが、アメリカの大学の教授は比較的フランクで、日本のように堅苦しい雰囲気に終始切り詰められ、真面目にノートを取るような状況はない。

日本の大学がどうなっているか僕はわからないが、皆さんがドラマや映画で見たことある授業風景がそのまま広がっている。映画が好きな先生がいれば、毎週のように映画コラムを強制的に聞かされてから授業に入る脱線型プロフェッサーもいれば、何も発さずに授業を淡々とはじめる先生もいる。

僕はこの新しい授業が始まる期間が好きで、この先生はギャグを良く言う陽氣な先生で、この先生はジョークが通らない日本人みたいな人だ、などと勝手にイメージを作っていく。

 

世の中ってとても恐ろしいですよね。

アメリカの大学では授業を取る前にこのプロフェッサーはつまんないor楽しいというのが、授業を受ける前からわかる。生徒たちはRatemyprofessorというサイトに行って自分の大学と授業を入力すれば、一瞬にして先生の授業光景が可視化される。

これを見て、こいつはつまらなそうだからやめようとか、この先生の授業は楽単だし、これにしよう!などどいろんな戦力を立てるのだ。さらに大学によっては質の悪い授業をする教授を排除するために、生徒からの評価を重要視する大学もあるという。

高校卒業まで日本で過ごした僕は、授業が楽しくて、行きたいと思わせた授業がこれまでに一度もあったことがない。僕の学習意欲の悪さが一番悪いのだが、それにしても教授側からのみ評価されるのではなく、生徒側からもその授業の評価を可視化できるシステムは理に適っていますよね。

 

さて。

蒸し暑い夏の気候は日本と特に変わらず、毎日のように外に出るだけで汗がブワッと湧き出てくるのはアメリカも同じことらしい。生徒たちは自前の車を運転し、キャンパスに車を止めてから授業へ向かう。

日本ではスタバのカップを持っているとオシャレだ、みたいな女子文化が根強く、それと同様にアメリカンガールはDutch Broというスタバみたいなジュース屋さんの容器を持って授業に現れる。

この学期に僕が受けている授業の中で、とても面白い授業があるので紹介したい。それはスピーチを練習するクラスで、先生がとても熱血的で小学校の運動会に闘志を燃やすサッカー部の顧問の先生のような人物だ。

彼はこの道20年を超えるベテラン先生で何人もの生徒をスピーチコンテストに出場させ、クラス内で一緒になった生徒を結婚させた恋のキューピットでもある。それを豪語すること1時間。

なぜか彼の話に溶け込まれていく。だいたい授業の前座で先生が話す内容なんて面白かったことがないし、彼らも自分が話したいことを無邪気に話しているだけのように見える。

おそらく家庭で誰も聞いてくれないから、半ば強制に耳を傾けてくれる学生が都合がいいのだろう。少し言葉はきつかったが、生徒たちが先生の話にはそんな感情しか抱いているないのが現実だろう。

 

話が上手な人間は羨ましい。

話が面白いだけで、その人の魔力に溶け込まれるし、永遠に聞いていたくなる。アメリカ人は基本的に適当だし、ビックマウスのところがある。なので先生の話もマイナス30%くらいのつもりで聞いているが、彼の話は現実味が帯びてくる。

日本人の話す内容は謙遜しすぎる傾向になるので、プラス30%増しで聞いているけど、アメリカ人の話でマイナス30ルールが例外なのは、久しぶりの感覚。

彼はおそらく本氣でこの授業を通して、僕ら生徒のスピーチ力を上げようと思っているし、それが不可能ではなさそうと思わせるのが、戦略としてとても上手い。過去に同じ授業をとった友達が、本当に楽しかったと匂わせるので、ますます楽しみになる。

まだはじまったばかりなので、これからどんな授業の運び方をするのかわからないが、初回の授業は特に内容の凝った授業になっていた。僕が今受けているこのクラスは3時間ある授業で、とにかく長い。

長すぎて時計に念力を送って早く時間経たないかなと願ってみたり、あと何分かな?と思って振り返るとまだ最後に確認してから1分も経っていないという状況に陥る。ただこの先生は人間のことをよくわかっていると節々に思う。

スピーチの天才スティーブ・ジョブスはAppleの新製品発表会のとき、恐ろしいほど時間をかけスピーチを完成させ、その計算された原稿と観客を飽きさせない仕掛けなど、彼のスピーチ術が本になるほど、現代のスピーチの基本になっている。

過去に読んだ本の中で、彼のスピーチを研究したある本は、ジョブスは10分で映像を見せるかプレゼンターを変えると書いてあった。それは人間の集中力は10分しか持たないので、集中力を切らす前に興味をひくことを差し込むらしい。

 

3時間も授業があると、誰でも当然眠くなるし、今日の晩御飯のことを考えてしまう。なので、学生たちを定期的に立たせてアクティビティの時間に当てたり、様々な工夫が見受けられる。

さらに他の生徒たちをもっと知るために、野外に出てみんなで簡単なゲームをした。幼稚園の遠足会のようにみんなで輪になって自分がどんな人間なのかを説明する。どこで働いているだの、どこに住んでいるだの、みんな好きなことを言う。

アメリカ人は自分のことを表現するのがとても上手なので、ジョークを上手く混ぜながら自己紹介をしていく。徐々に僕の番が回ってくる。あと三人、二人、一人‥。そして僕の前の人が自己紹介を始めた。

彼女は黒髪でJack Danielのロゴが入ったTシャツを着ていた陽氣な女の子であった。授業中誰の目を氣にすることなく、はしゃぐ彼女の胸元にはいつも親父たちが嗜む酒の姿が映り込む。

それだけで笑ってしまいそうなのに、自己紹介がまた感動的なんですよ。元氣よく言葉を口にするもんですから、聞く人はみるみる彼女に夢中になり、話を聞く。

さらに追い打ちをかけるように、タイ出身だとか言い出したんです。よく話を聞くと、イギリスに住んでいて、アメリカに引っ越してきたばかりだと言う。新しくアメリカで始まった新生活を楽しんでいるらしい。

「おい!ちょっと待ってよ!」と心の声が飛び出るほどの驚きと絶望感で胸がいっぱいになった。アメリカで生活していると、日本人という海外から来た人間ということだけで重宝されるし、日本人ということがひとつのパーソナリティーになる。

自己紹介をすれば、必ず注目され、日本がどんな国なのか彼らは興味津々だ。どんな人たちが住んでいるのか、どんな特質な文化がそこには広がってるかなど、人それぞれ興味は違う。

これまで会ってきて人たちの中で、噂話レベルで聞くいまだに日本にはサムライが生きていると思っている西洋人に、まだ出会っていないが、多少英語が下手でも、日本から来たと言うパワーワードが、英語レベルの低さをカバーしてくれる、はずだった。

今まで無双していたそのパワーワードが、目の前でなし崩れし、僕は最大の武器をいま失った。さらに追い打ちをかけるように、彼女は悠長に英語をスラスラ話すんですよ。もう殺してくれ、僕の頭の中にはそれしかなかった。

そんなんズルいですやん。日本から来たと言う引き出ししかない僕は一瞬にして剣と鎧を失い、パンツ一丁でこれから自己紹介という最大の敵を迎えるわけです。新しいネタを考える時間もなければ、彼女のように華奢でもなく、そこに立っているのはサムライが生息している遠い異国から来た映画オタクだ。

彼女の感動的なスピーチが終わり、先生からいろんな質問が飛んでくる。それに対してタイではこうだなどと威勢よく質問に答える彼女。その横で世紀末のような顔をしながら、固まるアジア男。

僕の自己紹介は本当に記憶がなく、氣がつくと次の人にバトンタッチされていた。僕史史上ダントツで緊張し、記憶を綺麗になくした。たぶん何か自己紹介ぽいことはしていたみたいだが、一番肝心の名前を言い忘れ、スピーチを終えた。

「で、名前は?」と先生から聞かれ、「あ、〇〇です。」というシュールなやりとりを終え、僕の自己紹介は終わった。

 

僕が住んでいる地域は田舎なもんですから、ほとんどが白人で少数の黒人がチラホラいるだけだ。アジア人なんてほとんど見かけたことないし(最近中国人が増えてきたが)、日本人はみんな知り合いみたいな場所だ。これまでそんな貴重な日本人枠を乱用してきたシワ寄せが周りに周ってきたみたいなので、猛反省ですよ。

とりあえず、再発防止を防ぐために、自己紹介のときは必殺技「日本から来たよ」が交わされたときように、新たな武器を持つようにしますね。

 

特技はたまごかけご飯に醤油を適量かけることです。

 

これは綺麗な女優がいうから可愛いのであって、映画オタクアジアンが言ってもキモいだけですよね。どんな自己紹介がウケるのか、これを機に考えてみます。

 

びぇ!