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Netflix映画『ROMA ローマ』あらすじ感想ネタバレ:激動の70年代のメキシコを舞台に家政婦の葛藤を描く

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Netflix

こんちくわ!Shygonです!

今回はアルフォンソ・キュアロン監督作品

ROMA ローマ

について熱く語りたいと思います!

2018年に公開された本作は、1970年代のメキシコの中流階級で働く家政婦の日常を描いた作品です。

アルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的作品と言われ、幼少期に彼がメキシコで過ごした経験が生かされています。第91回アカデミー賞では最多10ノミネートされ、3部門受賞しました。

 

サクッとあらすじ

1970年代のメキシコシティ郊外。

医師をするアントニオと妻と子供4人の家庭で家政婦として働くクレオ。散らかった部屋の掃除から、皿洗い、子供のお迎えと大忙しのクレオ。

同じく家政婦の友人アデラと忙しい日々を過ごすクレオの日常を描く。

恋愛と妊娠を通して成長していくひとりの女性を描くとともに、政治不安が続く70年代のメキシコを間接的に描く。

 

キュアロン監督が幼少期を過ごしたメキシコ

 キュアロンが5役務めた意欲作

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アルフォソ・キュアロン監督

アルフォンソ・キュアロンが監督・製作・脚本・共同編集、そして撮影も務めた野心作

2016年にキュアロン監督がメキシコの一般家庭にフォーカスをあてた作品を撮るという報道があった。

アカデミー賞では監督賞・撮影賞・外国語映画賞の3部門を受賞しました。

2013年製作の「ゼログラビティ」は、アカデミー賞で監督賞を含む最多7部門受賞。アバターのジェームズ・キャメロンやスピンバーグなどの業界人が大絶賛しました。

本作は、そんな見事な宇宙空間を描いた前作とはうって変わり、メキシコの一般家庭を舞台にした家族ドラマ。

 クレオ

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Netflix

メキシコに住む若い女性。医師の家庭で家政婦として働く。

ヤリッツァ・アパリシオが演じました。先住民族の血を引き、保育学校に通っていた。なんと演技経験はなくて、本作が映画初デビューにして、いきなりアカデミー主演女優賞にノミネートを果たす。

 

激動の70年代を白黒だけで彩る

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Netflix

" すさまじすぎる。"

 

メキシコのある家庭で働く家政婦の物語。観る前はこれしか聞かされずに、観た。だんまりした小津作品みたいな家族ドラマだと勘違いしていた。

メキシコでは度々重なる政治混乱に、ドラック帝国を仕切るマフィアなど、問題を挙げればキリがない国である。

その中でも70年代は特に政治混乱が酷い時代でした。そんな波乱の時代に、ある清純な若い頑張る女性の物語を通して、いかに国が揺れ動いていたかを訴えかける。

 

風やカメラワークは、ロングカットを多用し、キャラクターの心情を感性豊かに描いた。

登場人物の感情変化や人間の奥底から湧き出る人情を切り取った作風になっているが、中身はそんなものではなかった。

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Netflix

タバレが含まれます。

はじめて愛した人との間に子供が宿るも、それを知った男は責任感のなさから姿をくらましてしまう。

そんな辛い経験をしながらもひとりの若い女性として辛抱強く生きるクレオにはさらなる災難が襲う。

国民が暴走し、首都近郊で銃声が聞こえるほど大掛かりなストライキが起こる。ひとりの女性が経験する辛さと痛みなど、そっちのけで国民は暴徒化してしまう。

国の混乱や自身へのストレスで死産になってしまい、ぬけがら状態になるクレオ。

 

そんなひとりの女性の葛藤と成長を白と黒で鮮明に描き切った本作は、カラー映画より色彩豊かなのでは?と錯覚するほど情緒深い

 

最後につらつらと。

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Netflix

「ROMA ローマ」には英語の字幕が一切ない。映画のワンシーンの中で、主人公の家政婦さんが英語を話す家庭に遊びに行く。

彼女が話すスペイン語には字幕がついてるのに、英語を話す声が聞こえると、字幕が途端になくなる。

彼女は英語が話せない。つまり、彼女主体のこの映画では、完全に彼女の見たままをそのまま映画にしているということだ。

いかにしてメキシコのある家政婦の日常を徹底して描こうとしたのかがわかる

 

ちんちん丸出しで棒を持ちなにかを始める少年。もう棒なんてもってるじゃん!とばかりにしょうもないギャグを心で言い放つ僕。

全裸の男がキレのある太刀さばきを見せたあと、一言”Arigatou”と。日本語が出てきたことに驚いた。

 

そんなよく考えれば、は?というシーンでさえも本作の世界観では全く違和感ない。

描かれる全てが美しいと感じてしまうほど、全体に行き渡った美的センスと70年代のメキシコの閑静な街並み

あぁ。と思わず嘆いてしまうほど、人々の奥底に眠る感性が呼び起こされる。

 

ういう映画ほどブログは書きたくない。映画の魅力が文字を超えて伝わることはないし、それを上手く表現する文才もない。

それほど細部の至るところまで本作に魅了されるし、計算されたカメラワークに、それを映し出すメキシコのある一般家庭

 

る報道では、本作ローマはアメリカで公開された外国映画の中で、1館あたりの興行収入が史上最も高いという。

スペイン語自体が、もう英語を超えて、アメリカの公用語みたいなところがあるからもひとつの要因として考えられるが、これほどメキシコに焦点を当てて、日常生活の一部を垣間見れる映画は他にない。

メキシコに旅行で行ったことがあるが、旅行者では絶対味わえないその国の隠された日常が本作では描かれる。

メキシコに旅行に行くんではなくて、何十年も住んだ気になりたくはないだろうか?

びぇ!

 

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