映画 「Mid90s」 感想ネタバレなし:少年の甘酸っぱいひと夏の青春を描く!
こんちくわ!Shygonです!
今回は各映画祭で絶賛と名高い映画
Mid-90s
について語りたいと思います!
2018年に製作された本作は1990年代半ばのロサンゼルスを舞台に、幼い少年が大人へとなっていく過程を描く青春映画です。
俳優として既に有名なジョナヒルが自ら脚本を執筆し、監督も務めた意欲作です。
サクッとあらすじ
1990年半ばのアメリカロサンゼルス。
13歳の少年スティーブは厳しい母親にゲイのお兄さんに囲まれて過ごす日々に退屈しており、陰ながら地元の不良グループへ憧れを持っていた。
やがてその不良グループに入ったスティーブは少しずつ大人の世界に足を踏み入れていく。
そこでは酒、タバコ、女など蔓延るロサンゼルスの闇が描かれるのであったが、、、
俳優ジョナヒルから監督へ
俳優ジョナヒルとして
コメディ映画から感動作まで俳優としてこれまで幅広いジャンルで活躍してきたジョナヒル。
「マネーボール」と「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」ではアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、受賞には至っていませんが実力派俳優として評価の高い俳優です。
監督ジョナヒルへの変化
本作「mid-90s」が初監督作品であり、脚本も彼自身で執筆しています。
裏話でデイミアン・チャゼル監督の「セッション」が原案段階であったころ、ジョナヒルは同じ同世代として彼から影響を受け、本作の脚本を書き始めたそうです。
それから3年の月日をかけようやく完成させたのでした。
監督としてのこだわり
普通のインディペンデント映画は 1.33 : 1 で撮られることが多いのですが、リアリティーを追求するため16mmのカメラを使って本作は撮影されました。
なので本編通して映画の区画が若干狭くなっているのはそのためです。実際に90年代に使われていた製品でそのまま再現することに徹底したようです。
人生が凝縮された84分
13歳の少年がまわりに影響されながら、成長していく青春映画なのですが、非常によく作り込まれていると思います。
カメラ機材まで徹底してリアリティーを追求し、自身の経験を練りこんだ本作はとても人情深い家族物語に出来上がっているのです。
人情深い青春映画
上映時間わずか1時間24分なのにこれほど深くキャラクターに焦点を当て、男の子が成長して行く過程を緻密に描くのはやはり監督兼脚本家ジョナヒルの力強い思いがあってこそです。
主人公の13歳の少年スティーブとそのまわりの友達、ゲイだからという理由で孤独を感じる兄ラン、そして献身的に支える母親ダブネイ。
男の子から少年へ
たったひと夏では短すぎる時間で様々なことを経験したスティーブはまるで男性なら一度は当てはまるようなことをコメディタッチで描かれています。
やったことないことを強がってみたり、まずいタバコを片手に美味しくないお酒を豪快に飲んでみたり、警察に逆らってみたりとやりたい放題の年頃を一度は経験するものです。
女性とのはじめてのみずみずしい経験や調子に乗りすぎて後が引けないところまで行ってしまったこと。
全ては男の子から少年への成長過程を隅々まで描き切っています。同時に90年代のロサンゼルスが彼ら子供にどんな場所であったのか、非常によくわかる映画になっています。
ヒップホップに憧れてスケートボードに夢中になり、ドラックをやってみたりといまとなっては過去の記憶である懐かしい少年時代がジョナヒルにもあったということです。
最後に青春とは何なのか
ジョナヒルはインタビューの中で本作についてこう語っています。
「13歳くらいの年頃の男の子はとても複雑です。グループに属し、ホモを嫌い、女性とクールに接する男こそが真の男。
そんな状況から甘酸っぱい初恋を経験して成長していく。そんな物語が本作mid90sである」と。最後に彼が監督業への思いを語ったインタビューの言葉を引用して終わりとします。
「もしあなたが俳優ならその監督さんの色に染まることはとても重要です。僕はずっとみどり色に染まり続けていたし、いまでも緑は好きです。でも、自分だけの紫色を本作を通じて見つけることができて、とても最高な気分だよ。」
俳優ジョナヒルが新たなステージへ駆け登った本作。
監督デビュー作である本作mid90sは自身の経験を踏まえた最高の青春映画に出来上がったのかもしれない。
これまでもひと夏の成長過程を描いた作品「君の名で僕を呼んで」や「レイディー・バード」などがありますが、本作も非常に素晴らしい作品のひとつだと個人的には思いました。
びぇ!