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アメリカ在住大学生が映画を語るブログ

映画「君の名前で僕を呼んで」 感想ネタバレ:本作を見たゲイの友達はなぜ号泣したのか?

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©2017 Sony Pictures

こんちくわ!Shygonです!

今回は「君の名で僕を呼んで」を熱く語ります。

 

アメリカは日本とは違いLGBTと呼ばれるレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、そしてトランスジェンダーのコミュニティーが広く認められています。

学校を歩いていても、普通のカップルのように過ごしている彼をよく見るほどです。そんな中、僕のまわりにも何人かLGBTの友達がいるのですが、本作をかれらと見に行きました。

 

本編が終わりエンドロールが流れ始めると、横で涙しているのです。

なぜこれまで様々な同性愛の映画を見てきた彼らはこの映画で涙したのでしょうか?

 

2017年に製作された本作は1980年代のイタリアを舞台に一夏の青春物語です。

様々なカテゴリーに分け、熱く語っていきます!

 

サクッとあらすじ

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©2017 Sony Pictures

1983年イタリアの夏。

17際のエリオは夏休みに家族とともに避暑地を求めて、別荘に移っていた。

普段はアメリカの大学で考古学の教壇をとる父と、何か国語も流ちょうに話す母にエリオも引けを取らず、イタリア語、フランス語、英語を操り、ピアノ、ギターをも弾ける秀才であった。

そんな家族のもとに父親のアシスタントでありエリオの面倒をみるようにオリヴァーが訪ねてくるのであった。

 

エリオとオリヴァーの恋は突然はじまるのであった・・・

 

本作が描く最高の「美」とは!?

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©2017 Sony Pictures

この映画ひとことでいうと、美しすぎるのである。

具体的に本作が描く「美」とはなんなのか、様々なカテゴリーに分け語ります。

 古代ローマを彷彿させる建物と風景、そして映像美

真夏のイタリアの別荘地を舞台に、古代的な建物や壮大に広がる緑に人々は魅せられます。こじんまりした街並みに、ルノワールやモネの世界観のような生い茂った田舎町は「美しい」以外の言葉が見当たりません。そんな駆け回りたくなるような大草原を舞台に本作は語られそんな贅沢な景色を圧倒的な映像美で描くのです。

 彫刻のような肉体美

主人公のエリオは、全編通じてほとんどが上裸なのです。

まるで幼い少年のような未発達な体とは対照的に、オリヴァーは鍛え上げられた筋肉で覆われた体つきをしています。そんなかれらをみているとローマを描くベルニーニの彫刻を彷彿させます。まさに「動く彫刻」とべきいえるほど美しいのです。

 一直線に生きる彼らの恋愛美

この観点に関しては次章で詳しく語ります。

 

本作が描く恋愛観とは!?

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©2017 Sony Pictures

 

限られた夏休みという時間の中で、誰もが経験したような初恋の甘酸っぱさを詳細に描きます。

エリオにとって愛というものをはじめてしる喜びと、失う喪失感をひと夏に体験するのです。そんな無頓着なエリオはこんなことを教わるのです。

恋愛というものははじまりがあるが、いずれおわりがくる

17歳には辛すぎる夏の経験を切り取り、淡々とカメラは彼を追いかけます。本作は同性愛の映画でも、決定的に他の同性愛の映画と違う個所が何点か見受けられます。

エリオはオリヴァーと恋仲になる一方、同世代の女性の彼女がしっかりいるのです。一般的な同性愛の映画の特徴として、

二人が結ばれているということを隠したり、それを後ろめたく思う気持ちが必ずどこかで描かれます。

 

例えば、「ブロークバック・マウンテン」「ムーンライト」は自分がゲイであることに後ろめたい気持ちを抱き、隠し通そうとする葛藤が非常に巧妙に描かれます。

それは法律上、同性愛が認められていないことや、世間からの風通しがきついなど様々な要因がありますが、本作にはかれらに後ろめたさが全くないというのが特徴です。

 

まさにココが友達が涙した理由です。

いままで数多くの同性愛映画が存在する中、そのどれも後ろめたさや自分の本当の気持ちを押し殺す場面ではなく、本当の自分を全部さらけ出す様に感動を覚えたのです。LGBTコミュニティーを本当に心の底から認める最初の映画になったのではないでしょうか。

 

最近徐々に同性愛が社会的に受け入れられてきましたが、実は古代ローマでは同性愛は認められており、これまで「古代ローマ」というワードが一貫して出てきたのはそんな理由からきているのです。

実は本作自体が古代ローマ風な映画であり、設定は違えど、古代ローマの神話的な話に過ぎないのです。そして、最後シーンでは季節が変わり冬になると家族のもとに一本の電話が入ります。

 

「オリヴァーが結婚した。」という電報です。

 

家族は歓喜に飲まれるほど彼の結婚発表を喜びます。エリオを除いて。家族の誰も知らないふたりの禁断の恋。

彼は夏の思い出を全て囲い込むように暖炉の前で涙するのです。あの暖炉の前でひとりでひと夏を思い出すエリオは言葉になりません。

脚本家のジェイムス・アイヴォリーは本作の執筆に9か月かけ、監督のルカ・グァダニーノは「ビフォア・サンライズ」(リチャード・リンクレイタ―監督)のような続編構想を練っていると発言するなど、もう興奮する話ばかり耳に飛び込んできます

びぇ!