映画「ブレードランナー2049」 感想ネタバレ:35年ぶりの続編が描く人造人間と人間の近未来とは!?
こんちくわ!Shygonです!
今回は「SF映画の金字塔」と呼ばれ、根強いファンがいることから「カルト映画」的人気を誇る「ブレードランナー」の続編として35年ぶりの新作
「ブレードランナー2049」
について熱く語りたいと思います。
2019年の近未来を舞台に人工知能が人々の生活に浸透する中、「人間とレプリカント(人工人間)の差とは」というこれから来るであろう未来を40年以上前から描いている前作「ブレードランナー」は映画史の中でも、絶大的な人気を誇ります。そして、35年の年月をまたぎ、待望の続編「ブレードランナー2049」が封切られたのです。
2017年に製作された本作は、舞台は2049年の近未来に置き換えられ、前作のその後が描かれます。核戦争の末廃れたアメリカを舞台に様々な物語が錯綜し、展開されます。35年ぶりの続編「ブレードランナー2049」とは一体どのような作品なのでしょうか。
様々なカテゴリーに分け、熱く語っていきたいと思います。
前作「ブレードランナー」が与えた影響とは!?
本作2049を語る前に、前作の「ブレードランナー」について触れておく必要があります。前作「ブレードランナー」は1982年に公開され当時としては珍しい「デストピア的未来」を描きカルト的人気を起こしました。
しかし、公開当時は「スターウォーズ」や「E.T」など明るいSF映画に圧倒され、世の中には浸透されなかったのです。年を重ねるたびに一定数のファンを獲得していき、いまではこれら人気作をしのぐほど人気作品へと上り詰めたのです。
前作「ブレードランナー」は間違いなく時代を変え、多くの人に愛されている作品です。なぜこれほど昔の作品にも関わらず、多くの映画人がいまなお映画作りにおいて参考にしていると明言するほどの大作になったのかはここでは語りきれません。
本作を理解するまえに前作「ブレードランナー」がなぜそれほど影響力を持ち、いまなお愛され続けているのかを必ず理解してほしいです。
なぜなら「ブレードランナー」をしるということは、つまり映画を知るということにもなるからです。大げさかもしれませんが的を得ている発言であると自負しています。下記にはかなり内容の濃い記事を前に書きました。是非ご確認ください。
35年の月日が経つ前作の解説はこちら
「ブレードランナー2049」は豪華すぎる天才の集い!?
そして、話はやっと本作「ブレードランナー2049」に戻ります。前作で監督を務めたリドリー・スコットは製作に回り、本作では新税ドゥニ・ビルヌーブ監督が務めます。これまで彼は「メッセージ」などを手掛けています。
脚本家は前作同様ハンプトン・フィンシャーとマイケル・グリーンが執筆しました。マイケルの前作「ローガン」はアメコミのアクション映画ながらアカデミー賞脚色賞にノミネートされました。
次は俳優陣です。主演は「ラ・ラ・ランド」や「ファーストマン 」でおなじみのライアン・ゴスリングが主人公のKを演じ、前作でテッカードを演じたハリソン・フォードも登場します。ウォレス社社長で敵役のウォレスをオスカー俳優ジャレット・レトが演じます。
人間とレプリカントが歩んだ道のりとは!? - Kの行方は!?
監督のドゥニ・ビルヌーブは大人気カルト作品の続編を撮るにあたり、その前に短編3本を公開しました。
- 「ブレードランナー2022:ブラックアウト」
- 「ブレードランナー2036:ネクサス・ドーン」
- 「ブレードランナー2048:ノーウェア・トゥ・ラン」
どれも20分に満たない短編ですが、前作「ブレードランナー」の2019年から2049年の「空白の30年」に一体何があったのかが描かれています。
なので、本作は「空白の30年」後の2049年から始ますのです。前作「ブレードランナー」の本質を理解したうえで、本作へと話を進めます。
前作では技術の進歩がレプリカント(人造人間)の製造を可能にし、人類の文明においても需要な役割を果たすと思われていました。
しかし、レプリカントが自由に物事を考え行動するようになると人間との差は
「感情の有無」
になっていきます。
前作の本編ではレプリカントかを見分けるために感情の落差が実験によって影響するか、否かで人間と識別をしていたのでした。しかし、レプリカントは徐々に感情が芽生えてくるのです。
そこで前作はこんな問いを投げかけて見せたのです。
「人間とレプリカントの差とは?」
感情を持ったレプリカントは人間ともう変わらず、その境界線をわたしたちは失いつつあったのです。そんな永遠に答えの出ないような問題を前作では投げかけます。
そして、30年後。彼らとの差は「魂の有無」と移り変わるのです。人間の死とレプリカントの死の徹底的な違いは魂が直結するかであります。
(ネタバレが含まれます。)
前作のレプリカントレイチェルとデッカードの間に実は隠し子がいたのでした。
いままでレプリカントは子供を産めないものとして考えられていたのですが、子供を産んだ後彼女は亡くなっていたのです。レプリカントと人間(?)の子の存在は人間とレプリカントと人間の境界線をぶち壊すことを意味するのです。
レプリカントが子供を人間のように産めるということを絶対認めたくない人間はその「神の子」を殺すように命じます。逆にレプリカントは我が同胞の希望の星ということで「レプリカント解放運動家」たちは必死で「神の子」を援助するのです。
そんな戦いの渦に巻き込まれる主人公Kは新型のレプリカントとして旧型のレプリカントを抹殺する「ブレードランナー」の職に就きます。そして自らがレプリカントながら、レプリカントの希望の星である「神の子」の抹殺を命じられるのです。
そんな「神の子」はK自身ではないかという疑心半疑のもと、Kは父親のデッカードへ会いに行きます。それは自分の記憶の奥底に幼少期の頃の記憶が頭の片隅にあったのです。
最終的にそれらの幼少期の記憶は植え付けられたものであり、自分は人間でなく、レプリカントであることを知り、失望してしまうのです。しかし、そんな自分のレプリカントとしての役目は「神の子」を守るということ。
父親デッカードを「神の子」、自分の娘と会わせると、真冬の雪積もった場所で、ひとり尽きるのです。
近未来の廃れた世界を描く本作の世界観とは!?
雨が画面全面に降り注ぎ、暗黒世界を徹底的に表現した前作とは打って変わり、重くずっしりとした雲から降り注がれる白い雪があたり一面を覆っているのが本作の特徴でしょう。
季節の変化と撮影
大人気作の続編ということもあり、前作「ブレードランナー」を強く意識して作られており、雨が降り注ぐ真夜中の描写も多々情景描写として登場します。
腐敗したラスベガスを彩るあたり一面に広がった砂漠、アジアの文化を意識したような都市作りは前作同様相当「ブレードランナー」 しかない唯一無二の世界観です。
それらの情景を大胆に映し出す、カメラワークは名撮影監督ロジャー・ディーキンスの手腕の高さを覗えます。(毎回アカデミー賞を逃すディーキンス、今回こそは初受賞を願ってます笑)
※これまでアカデミー撮影賞には14回ノミネートされていますが、いまだに無冠です…そして、ついに悲願のアカデミー撮影賞受賞いたしました!!
鳴り響く重量感ある音楽
現代の映画音楽家の中でも3本の指に入るハンス・ジマーが作曲を担当しています。音楽についてはただ最高、、、この一言に尽きます。
こんなに見ていて音楽映画の世界観を助長し、完成させられた世界を持つ音楽はやはり唯一無二の神業です。
各分野の天才が挙って集まり完成させた本作は稀に見る「何回でも見たいと思う作品」です。特にKが最後に力尽きるシーンほど視聴者をゾっとさせ、エンドロールの間に心を撃ち抜かれるような感情は感じた者しかわからないのです。
そんな本作アカデミー賞では5部門にノミネートされて、撮影賞と視覚効果賞の2部門受賞しました。個人的にはもう少し評価されてほしかったですね...
びぇ!