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映画「ローガン」 あらすじ感想 : 父親とヒーローとして美しく散って行くウルヴァリンの人生とは-劇中の西部劇って?

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©2017 20th Century Fox

こんちくわ!Shygonです!

今回はマーベル映画史上最高傑作と名高い 

ローガン

を熱く語りたいと思います!

2017年に製作された本作はX-MENのウルヴァリンシリーズ最終章に位置付けられており、本作にてウルヴァリンを長年演じてきたヒュー・ジャックマンは本作にて引退するようです。

 

観た後の感想としてはめちゃくちゃ面白いという一言に尽きますよ!

それを裏付けるかのように世界最大の映画データベース、IMDbというサイトでは娯楽作品には珍しい評価が 8 を超えています!

そんな中であまり芸術性に乏しいアクション映画でこれほど世界の人たちに受け入れられているということがどれほどすごいのか。

今回はなぜそんな絶賛されているのかを自分なりに分析し、熱く語ります。

 

サクッとあらすじ

近未来2029年、数少ないミュータント(この映画シリーズで特殊な能力を持った人たちの総称、主人公ローガンもそのひとり)は絶滅の危機にさらされていた。

そんな中かつての勢いを失ったローガンことウルヴァリンは完全治癒能力を失い、お酒に溺れていた。

そんな中11歳の少女の母親を名乗る女から助けを求められてしまう。はじめは断った彼であったが、実は少女はミュータントであり、彼の娘で、何者かに命を狙われていた。

最後の決意をし、彼女を守ることを決意した。

 

 残虐シーンの多様と影響

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©2017 20th Century Fox

本来、マーベル映画の多くはヒーローを扱っており、大衆映画であるというのが一般常識です。ヒーローという役柄から子供たちからも人気があり、正義が勝つといったようなお決まりのパターンと子供を熱狂させるなにか魅力的ななにかがその部類の映画には必ず伴ってきます。

 

例えば、「アイアンマン」です。

彼は大富豪である反面、鉄の塊を身に、男子に魅力的な容姿に、戦い方をします。次に「マイティーソー」です。彼は違う惑星の王様でありながら、地球に降り立ち自慢の腕力で敵を倒します。

これもアイアンマン同様、王道のヒーロー映画であり、男女、年齢問わず老若男女に人気なのです(さすがに老人は好きではないかも‥)

 

そのような幅広い層を狙っているため、層を絞るような、やってはいけないことがひとつあるのです。

 

残虐シーンを見せることです。

 

これをすると年齢制限の厳しいこのご時世には、子供たちが見れなくなり、最終的にお金の面ではいい結果に繋がらないのです。

なので、戦いは綺麗に見せ、決して残虐な殺戮は見せないというのがいままでの常識であり、当たり前だったのです。

 

しかし、この常識を変えたのが昨年の大ヒット作「デッドプール」です。この作品はマーベルヒーローの一員でありながら、残虐に人殺しを行い、それを楽しむのです。

なので、子供には教育が悪いとヒーロー映画、前代未聞のR18で公開されるという事態でした。しかし、作品は絶賛の嵐でR18映画の中では史上最高の興行収入をあげる結果となりました。

「デッドプール」というキャラクターに焦点を当て、いままでのヒーロー映画の常識を打ち破ったのです。


そして、本作はその流れを組むように、人殺しは残虐になりR15指定の劇場公開となりました。「デッドプール」にはあの作品なりの良さというものが残虐かつ酷いシーンで引き立ってたのです。

様々な理由が挙げられますが、今回はではなぜローガンという映画に残虐かつ酷いシーンが必要だったのでしょうか。

 

一番わかりやすい点は迫力が増すのです。

 

それによって臨場感高まり、観客がアクションシーンに熱狂するのです。そして本作ではローガン自身が背負っているものとアクションシーンには通ずるものがあるのです。

本作の背景とローガンのキャラクター、そして残虐シーンの多様の関連性については次章にお伝えします。

 

背負っている事の違い

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©2017 20th Century Fox

まず一般的な映画のヒーローたちをご紹介します。

スパイダーマンは愛する彼女を影ながらに守ろうとします。このように愛する者や、規模が大きくなると地球を守るといった具合になります。

しかし、今回のローガンでは、彼は仲間を失い、冒頭シーンでは蝉の抜け殻のように魂が抜けているのです。しかし、自分の娘と知った瞬間、自分の命と取って代わってでもかばおうとするのです。

 

客の層を絞ったため見る人は子供のように現実離れした世界を愛するのではなく、現実を重視する年の人間が見るのです。

 

なので、地球を守るだとかそんな大きすぎるのです。

いかにも映画の世界観ではなく、多くの人が日常生活で体験するようなことに少し映画的スパイスを加えたのです。

それがローガンという人物に共感し、映画を主観的に体験できるのです。つまり、残虐な殺戮シーンをあえて見せることで、客層を絞り、その層に確実に共感を呼ぶため、彼らが日常生きる上でもありうる現実的な、かつ感情移入できるキャラクター設定が絶賛されるひとつの要因なのかもしれません。

 

そして、ローガンというキャラクターにはもうひとつ特徴があります。酒中毒であり、生きることに失望しているという、目を背けたくなる特質をこの映画で新たに加えました。

これこそ全ての人間のヒーローであったはずのローガンはそんな面影すらありません。そんなジャンキーが娘の存在を知った瞬間命を捨てる勢いで敵に向かって行く姿はその辺のヒーロ映画にはない無駄にカッコよくよっぽど現実的なのです。

なので、枠組みで考えるとマーベルのヒーロー映画ではありますが、実際には娘を苦し紛れに守ろうとする、どうしようもない父親と娘の物語なのです。

これこそが、みなさんがマーベルのヒーロー映画を超えたと行っている理由であり、全てなのかもしれません。

 

 完全治癒でなくなった事が与える影響

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©2017 20th Century Fox

このシリーズを観た方はお分かりかと思いますが、前作までは攻撃を受けても完全治癒するという特徴を持つヒーローなのです。

しかし、今作から謎の病気にかかり完全治癒能力を失っているのです。いままではなにをされても回復するため危険を顧みず、突っ込んでいくのです。

なので、完全な主人公的なヒーローでまさに最強なのです。

 

しかし、今作は最強ではなくなり、さらには上記に述べたように生きることに失望したジャンキーですこんな落差は他にあるのか、とツッコミたくなるくらい落ちぶれたヒーローなのです。

完全無欠な特徴こそがいままでのヒーロー映画の条件のひとつでしたが、違う路線の映画製作をする今作はこの必要不可欠であったその特徴を消し取ることこそが、いままでの無鉄砲なキャラクター性から娘を苦し紛れに守ろうとする父親像への方向転換に必要だったのかもしれません。

 

最後に

 

(ネタバレが含まれます。)

 

本作でローガンことウルヴァリンを演じるヒュージャックマンは引退を表明してしました。なのでどういう形でウルヴァリンという役とさよならをするのかと観る前は疑問に思っておりました。

結果として次世代のミュータントを敵から守り抜きましたが、最後に力尽き、亡くなってしまいます。

国から追われている幼いミュータントたちに自分の未来を託すのです。

まるで長年第一線で海賊たちを引っ張ってきた白ひげ(ワンピースのキャラクター)が自分の命と引き換えに、息子たちに未来を託すかのように、ローガンは自分の時代の終焉を語り、次世代へ期待するのとともに消えていくのです。

 

そして、劇中のホテルのシーンで名作西部劇「シェーン」の有名なセリフの代用をする場面がありました。ローガンは父親として、娘の最後のメッセージとして、シェーンでのセリフを代用し、

 

"人間は人生を変えることができない。"

"例え正しい行いをしていても人殺しをした烙印からは逃れることができない"

"だから家に帰ってママに伝えなさい"

"谷から銃は去ったと"

 

この言葉を本作に置き換え、ミュータントと人間の決別とこれからも必死に生きていくのだという意思表明をする父親としてのローガンから娘へ最初で最後のメッセージだったのです。

 

昔の名作映画のメッセージを代用し、時代の流れとともに父から娘へ確実に彼らに伝わった力強いメッセージが映画「シェーン」から映画「ローガン」へと伝わった瞬間が垣間見れるのです。

それこそが映画を愛し、一目置き、尊敬の意を示す最善の方法であると僕は思います。

びぇ!

 

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