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映画「晩春」あらすじ感想:嫁入り前の娘と父親の家族物語

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松竹


こんちくわ!Shygonです!

「晩春」は、日本を代表する映画監督 小津安二郎 の作品です。
 
「東京物語」は世界的に知名度のある映画で、いまなお大きな影響を各方面に与えています。サイレント映画「大人の見る繪本 生まれてみたけれど」や男女の恋心を描いた「東京暮色」, カラー映画の「お早よう」など当時の日本社会を投影し、日本で目まぐるしく生きる人々にスポットを当てる作風が有名です。
 
そして今回は彼の作品の中でも海外からの評価も高い晩春をご紹介します。
 

サクッとあらすじ

早くに妻を亡くし、それ以来娘の紀子に面倒をかけてきた大学教授の曾宮周吉は、紀子が婚期を逃しつつあることが気がかりでならない。
妹マサの持ってきた縁談を承諾した紀子は、周吉と京都旅行に出かけ再度心が揺れるが、周吉に説得されて結婚を決意する。
紀子が嫁いだ晩、一人家に残る心を決めた周吉は、人知れず孤独の涙を流す。
引用元Wikipedia(晩春 (映画) - Wikipedia)
 

お見合い結婚にかける思い

戦後直後の1949年に製作されたこの作品は家族の中でも主に父と娘に主に重点を置き物語を語っています。
なので、全編100分の中で家族以外に場面がそれることがほぼなく、何らかの世の中の変化も家族同士の会話で起きた出来事を描いているのです。
 
作家の父ともう時期お嫁に行かなければならない娘を中心に父娘の家族ドラマが描かれ、さらに鎌倉、京都などの美しい街並みや景色を白黒映画ならではの魅力で語り尽くしています。

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松竹
では映画晩春魅力とは一体なんなのでしょうか?
それはまずはやはり俳優原節子と笠智衆でしょう。この俳優たちは小津監督が生涯を閉じるまでずっと彼はこの俳優たちを使い続けるのです。
戦後の日本女性の象徴としてずっと慕われた原節子のすごさは彼女の映画を見たことがある方はご存知でしょう。

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松竹
しかし、このブログではあえて笠智衆にスポットを当てたいと思います。
この晩春にいたって、僕は彼が天才としか言いようのない演技を披露していると思います。話を細かく砕いて進めると、様々なことが見えてきます。
 
彼は作家として一目置かれています。しかし、父親としては妻に先立たれてしまい、周りの身支度ができないため娘にかなりを依存しているようなのです。
彼は娘に生活のほとんどを手伝ってもらっているため生きるためにはなくてはならない存在なのですが、父親として年頃の娘を早く嫁に出したいという思いが少なからずあるのです。
 
ですが、彼女がいなくなると生活に不自由になるということと, 愛する娘がいなくなるので、正直乗り気ではなく、彼の妹の助言でやっと重い腰をあげました。
この映画で、笠智衆という俳優は優秀な作家として、娘を頼る作家として、そして娘を内心手放したくない父親としての顔を使い分けているのです。
様々な感情が彼の中で混在していますが、それを全く表に出さず、表情を一切変えないのです。
 
なので、娘が嫁に行きたくない理由として、彼女が挙げた父が身支度ができないことについてはもう先の長くない自分をはけのけ、将来のある娘のために新しく嫁をもらうと嘘をつきました
そして最後の父と娘で行った別れの旅行の際には、娘は嫁には行きたくないとごねりだします。年ごろの娘が自分を愛しているのを心では喜ぶも本心とは偽り、父親として娘を嫁に出す説得をしました。
 
常に自分のためではなく相手のことを思うあの父娘はなんて魅力的な家族なのでしょうか。決して自分の利益を重要視しないそんな家族こそが監督安津安二郎の考える理想の形なのかもしれないのです。
そして最後娘を嫁に出し、ほっとする父ですが家に帰った瞬間孤独な家で一人リンゴを剥きながら涙をポロポロ流し始めるのです。
 
この場面は本当になんともいえない感情です。父としての威厳、使命感と娘を思う気持ちがあの涙には含まれていると思うと心に通づ何かがあるのです。あのなんとも言えない風情のある顔は俳優笠智衆の実力そのものでしょう。
この映画はロードムービーの一種ですが、戦後の日本の古き習慣の中で悩む一父娘を中心に情緒溢れる家族ドラマなのです。無駄な色を決して付け足さず、シンプルな雰囲気を追求した結果が名作晩春なのかもしれない
びぇ!
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