映画「メッセージ」が観客に送る「メッセージ」とは? (あらすじ感想)
こんちくわ!Shygonです!
今回は本を原作に映画化された
「メッセージ」
について熱く語ります!
2016年に製作された本作は中華系アメリカ人のテッド・チャンの本を原作に、言語学者が突如地球に現れた宇宙人と会話を試みるSF映画です。
サクッとあらすじ
ある日突然宇宙人が世界計12カ所に上陸します。
しかし、 主人公ただ一人はそれを信じようとせず文字の解明に突っ走るので ありました。
本編に登場する重要な言葉
僕は映画にチラホラ出てくる様々なキーワードが重要かと思います。
回顧録の意味とは?
この映画はじめに娘をなくし、 悲しみにくれているところから始まります。その後解読に努めますが、 それに娘との楽しかった記憶が回顧録として無造作に物語に組み込 まれるのです。
ココがまず注目すべき点です。
なぜ一見関係のない娘との会話を彼女が解読中に流れてくるのでし ょうか?
娘ハンナの名前の由来とは?
劇中何度か娘の名前ハンナが出てきます。 そして、ハンナが母親(言語学者) になんでこの名前なのかと聞いてくるのです。
宇宙人の言語体系とは?
彼らの言語は徐々に解読が進み段々わかってくるのですが、 ここで様々なことが浮き彫りとなってくるのです。
- 彼らの言語、言葉と文字が一致しないという点です。
- 彼らの文字が円状になっており、
どこからがはじまりでありどこがおわりかが分からないという点で す。 - 彼らの言語が表意文字であるという点です。
英語のアルファベットのようにそれだけで意味が伝わらないもので はなく、 日本の漢字のように文字だけで意味が伝わるもののようなことを指 します。
一体この規則が導くオチとはなんなのか、ここで暴くのではなく、映画「メッセージ」のように、 謎を残したまま次に進みたいと思います。
「メッセージ」の裏事情
監督
監督を務めたのはドゥニ・ヴィルヌーブでこれまで「ボーダーライン」や「ブレードランナー」の35年ぶりの続編「ブレードランナー2049」で監督を務め高い評価を受けています。「ブレードランナー2049」ではSF映画ながらアカデミー賞では2部門受賞しました。
今は亡き映画監督スタンリー・キューブリックのカメラワークソックリと 感じてしまったのは僕だけでしょうか。彼の世界観でなぜか湧き出てくる臨場感の謎がやっと解けた気がし てます。
音楽家
次は音楽家です。これは「ボーダー・ライン」のときと同じ人でしたが、 音楽家ヨハン・ヨハンソンはもう亡くなってしまいましたが僕の好みの音楽家です。
衝撃的な結末へ
©Paramount Pictures
(ネタバレが含まれます。)
実はこの映画過去の回想として出てくる娘との回顧録が実は未来の 話であったというオチになっているのです。
これには仰天ですよ!
これだから映画はやめられないんです。 たまにくる魂にぐんとくるあの感じ、 あれこそが映画の魅力であり、Movie Magicなのです。
ただ、単に未来の話でした〜というクソ映画ではないんです。 上記のように曇天返し映画に数学的な理論が付け加えられていると 言ったのはこのことなんです。
つまり、彼らの生態、 言語には時系列が存在しないということになります。ハンナのくだりを何度も流したのも、 文字が円状で始まりと終わりが分からなくなっている文字系列も全 て最後のオチに繋がっていく鍵であるのです。
そして最後に宇宙人の言語が表意文字であるのは作者が関係してい ると考えられるようです。 原作者のデッド・チャンは中華系アメリカ人であり、彼が中国語、 日本語などと英語との違いをこの作品に反映したらしいです。
どう評価するべきなのか?
本作をどう評価するか、一言で実に難しいです。
最後のオチがとんでもないことになっている曇天返し映画なのです。1990年代からでこのような部類の映画が数多く見られるようになりま したが、 他の曇天返し映画は一回では気持ちがスッキリしなくても、 なんとなく気持ちが晴れるオチが人々を虜にしますよね!?
本作はその曇天返し映画にガツガツな数学的な理論が重なったような イメージなのです。それが難しい理由です。
いままでの曇天返し映画はガイ・リッチー監督作品のよ うな人の勘違い系や、 ちょっとしたシュールな人々の関係のズレを描き、最後に一気に落とされるような感覚の映画が多数を占めます。
なので、 それらの曇天返し映画は現実世界かつSF要素は禁物でした。ですが本作は数学的な理論を付け加えることでSF的要素を加えた曇 天返し映画が完成するのです。
いま思い出したものを上げると「ユージュアル・サスペクツ」、「ロック・ストック・ツー・バレルズ」、「スナッチ」、「マチスティックメン」などの人間関係のゴタゴタで起こるハプニングにはない曇天返しが映画「メッセージ」にはあるのです。
本作の原作者が持つ数学的観点からの設定付けと中華系ならではのバックグランドが上手く本作を引き立て、全く予想できない展開を生んだのですね!
びぇ!